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ノロ感染と誤解されがち 我慢してはいけない下痢・吐き気・腹痛

危険な下痢・吐き気・腹痛

  伊藤和弘=ライター

(3)右の下腹部が痛い

 ウイルス性胃腸炎と間違われやすい病気に「虫垂炎」がある。いわゆる盲腸だ。その場合、虫垂がある右の下腹部に強い痛みを感じる。

右上前腸骨棘(骨盤の横の突起している骨)とへそを結ぶ線を3等分し、右から3分の1の点は「マックバーニーの圧痛点」と呼ばれ、虫垂炎で痛む部位とされる。原画=(c) Joshua Abbas-123RF
右上前腸骨棘(骨盤の横の突起している骨)とへそを結ぶ線を3等分し、右から3分の1の点は「マックバーニーの圧痛点」と呼ばれ、虫垂炎で痛む部位とされる。原画=(c) Joshua Abbas-123RF

 「虫垂炎はありふれた病気ですが、気付かずに重篤になってしまうことも多い。初期はおなか全体が痛い感じがして、腹痛が出てから12時間くらいすると右下腹部にピンポイントで痛みを感じるようになります」(岸田さん)

 初期は吐き気も感じるし、下痢をすることもあるという。右下腹部に痛みが出てきたら、こじらせる前に受診しよう。

(4)歩行時の振動や咳で腹痛がひどくなる

 歩くときの振動や咳によって腹痛がひどくなる場合、「腹膜炎」を起こしている可能性がある。腹膜炎とは腹膜が細菌に感染して炎症を起こした状態で、消化管に穴が開くことや、虫垂炎などが原因で引き起こされる。

 「ちょっとした振動がおなかに響き、腹痛がひどくなるのが腹膜炎の特徴。これは炎症の程度がかなり強いことを示していて、通常のウイルス性胃腸炎ならこのような症状は表れません」(岸田さん)

 放っておくと命にかかわる。すぐに受診してほしい。

(5)突然、またはピンポイントの腹痛

 腹痛の中でも、突然強い腹痛が始まったときは危険だ。「突然の腹痛は、詰まった、ねじれた、破れた、といった可能性が考えられます」と岸田さんは指摘する。

 まず、「詰まった」というのは胆石や尿管結石が尿管や胆管に詰まる、あるいは血管が詰まるなど。「ねじれた」は腸捻転のことで、放っておくとねじれた部分が壊死してしまう。「破れた」は胃潰瘍穿孔や大腸穿孔のように消化管に穴が開くこともあるし、大動脈瘤破裂のように血管が破ける場合もある。

 「『突然か』と聞かれると悩んでしまう患者さんもいるのですが、『何をしているとき起こったか』と聞かれて明確に答えられれば当てはまります。詰まった、ねじれた、破れた、はいずれも医療機関での処置が必要になる。放置してはいけません」(岸田さん)

 また、虫垂炎で右下腹部が痛くなるように、どこか一点がピンポイントで痛む腹痛は要注意だ。この場合もやはり「詰まった、ねじれた、破けた」可能性があるという。

(6)心拍数や血圧に変化が見られる腹痛

 前回記事「激しい下痢、ノロに感染? 受診すべきかの見極めは『3症状』で」で、強い脱水によって心拍数が上がり、血圧が下がることに触れた。脱水によって血液の量が減るので、心臓が送り出す血液量と血圧が下がり、回数でカバーしようとして心拍数が増えるのだという。「1分間の心拍数が120以上ある」「収縮期血圧(上の血圧)が普段より20mmHg以上低い」ときは深刻な脱水を起こしていると考えられる。

 「これは脱水だけでなく、出血がひどい場合も起こります。血液量が減ることで心拍数や血圧が変化するのです」(岸田さん)

 腹痛に加え、心拍数や収縮期血圧に前述の変化が見られたら内臓のどこかが破れて出血している可能性があるという。低血圧の人にしばしば見られる現象として、心拍数が120未満でも収縮期血圧より高くなっているのも異常事態。例えば心拍数が110、収縮期血圧が100の場合などは「バイタルの逆転」と呼ばれ、同じく内臓が出血している可能性が高い。

◇     ◇     ◇

 以上が放置するべきではない「危険な下痢・吐き気・腹痛」の主な兆候だ。このような症状が見られたら、手遅れにならないうちに医療機関に行こう。

 ここまではっきりしなくても、「大丈夫だろうか?」と心配になる場合もあるだろう。受診すべきかどうか判断がつかないときは「医療機関に行く前に、まずは薬局・ドラッグストアの薬剤師に相談してみるのも一つの方法かもしれません」と岸田さんはアドバイスする。

岸田直樹(きしだ なおき)さん
総合診療医、感染症医、感染症コンサルタント
岸田直樹(きしだ なおき)さん 2002年旭川医科大学卒業。手稲渓仁会病院総合内科・感染症科チーフ兼感染対策室室長などを経て14年よりSapporo Medical Academy代表理事。公衆衛生学修士(MPH)、北海道科学大学薬学部客員教授。日本内科学会総合内科専門医。日本感染症学会専門医・指導医。著書に『誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 重篤な疾患を見極める!』(医学書院)など。

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