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その肩の痛み、五十肩ではなく「肩腱板断裂」かも!

50歳以上の4人に1人が起こす肩腱板断裂、超音波で素早い診断・治療が可能に

 田中美香=医療ジャーナリスト

肩腱板断裂の約3割は、注射や理学療法では治らない

 肩腱板断裂の治療には、痛みを軽減する注射に加えて、理学療法のような保存治療がある。理学療法とは、運動や電気療法、マッサージなどによって機能の回復を促すリハビリテーションのこと。理学療法や薬物療法のように、手術を伴わない治療は保存治療とも呼ばれる。

 だが、こうした保存治療で症状が良くなるケースばかりではない。

 「秋田県雄勝郡羽後町で、肩腱板断裂に対して保存治療を行った際の長期的な効果を調べたデータがあります。10年間にわたり保存治療を行った47肩を追跡したところ、9割は痛みがない、あるいは軽い痛みを感じるのみまで回復し、7割は日常生活動作に支障がありませんでした(*2)。ただし、残る3割には日常生活に何らかの支障が残りました。理学療法や注射など、適切な保存治療を受けたにもかかわらず症状の改善が思わしくない場合は、手術が必要となります」(皆川氏)

 その手術(腱板修復術)とは、肩にあけた小さな孔から内視鏡を入れ、肩関節周辺の画像を見ながら、切れた腱板と上腕骨の骨頭をつなぐ手術だ。肩を切開する従来の手術(直視下手術)と違い、約5mmの小さな傷が数カ所残るだけなので、身体的な負担が少なくて済む。

 だが、「最悪の場合は手術でつなげばいい」と安易に考えるのは禁物だ。肩腱板断裂を早く診断できれば、完全に腱板が切れる「完全断裂」を起こす手前の、「不全断裂」の段階で手を打つことができ、そのぶん手術の成績も良好になるからだ。「早期診断のためには、放置しないで早く受診することが欠かせません」と皆川氏は強調する。

 「中高年に多い肩の痛みを、『年をとったから仕方ない』『放っておいても治るだろう』で済ませないでください。現在は運動器エコーを使って迅速に診断・治療ができる時代。その認識が広がれば、もっと多くの患者を肩の痛みから救えるだろうと思います」(皆川氏)

 今回のセミナーを主催したジョンソン・エンド・ジョンソンは、肩腱板断裂のチェックリストを紹介している(図3)。1つでも当てはまれば、早いうちにかかりつけの整形外科に相談してみよう。

*2 木島泰明、皆川洋至ほか、東日本整形災害外科学会雑誌、24(3): 379-379, 2012.

図3 肩の違和感セルフチェック

自分は「四十肩・五十肩」という自覚がある

洗髪や整髪、服を着る際に腕や肩が思うように動かず、不自由を感じることがある

腕を挙げたときに、肩のあたりでジョリジョリとした音がする

水平より上に、腕を挙げることができない

腕は挙がるが痛みを感じる

常に肩の周りが痛い

スポーツや事故などのケガから回復しても、肩の痛みがなくならない

思いあたるきっかけも無いのに、肩に痛みがある

夜間に肩に痛みがあり、眠れないこともある

肩だけでなく、二の腕(上腕)にも痛みがある

※上記項目に一つでも当てはまる場合は、病院で正確な診断と適切な治療を受けることをおすすめします
(ジョンソン・エンド・ジョンソンのウェブサイトより)

皆川洋至(みながわ ひろし)さん
城東整形外科(秋田市)副院長
皆川洋至(みながわ ひろし)さん 1989年自治医科大学卒業。秋田大学医学部附属病院整形外科講師を経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、医学博士。スポーツ、超音波診療、関節鏡視下手術を専門とし、運動器エコー診療のパイオニアとして知られる。1日150人以上の患者を外来で診察し、海外から超音波診療の技術を見学に訪れる医師も受け入れている。著書に『超音波でわかる運動器疾患』(メジカルビュー社) 。

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