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その肩の痛み、五十肩ではなく「肩腱板断裂」かも!

50歳以上の4人に1人が起こす肩腱板断裂、超音波で素早い診断・治療が可能に

 田中美香=医療ジャーナリスト

運動器エコーの進化で、肩腱板断裂は迅速に診断・治療できるように

肩にプローブを当て、モニターで画像を確認しながら診断・治療を進めていく。※写真はイメージです。(C) auremar-123RF

 いったん切れてしまった腱板は、自然に元に戻ることはない。だが、整形外科を受診して適切な治療を受ければ、痛みを軽減したり、肩の動かしやすさや動く範囲(可動域)をある程度回復させることは可能だ。

 整形外科の検査といえば従来はレントゲン検査が主流だったが、近年は医療機器の進歩により大きく様変わりしている。「レントゲン一辺倒の検査は、昭和の頃の話。現在では、骨や腱、筋肉、神経などをきれいに映し出す高解像度の超音波診断装置(以下、運動器エコー)が開発され、肩腱板断裂も運動器エコーで診断するのが当たり前になりつつあります」と皆川氏は語る。

 運動器エコーでは、プローブ(先端部についたセンサー)を肩の周辺に当てて動かしながら、モニター画面に映し出された映像から、腱板の亀裂や断裂の状態を把握することができる。「レントゲンでは骨しか見えませんが、エコーなら腱や筋肉、神経、軟骨なども一瞬で見えるのです。診察室でたった1分程度の検査で、肩腱板断裂かどうかの診断がつく、これが運動器エコーの大きなメリットです」(皆川氏)。

 通常、整形外科の医師は1日20~40人程度の患者を診療するといわれるが、運動器エコーを駆使する皆川氏は、1日平均150人もの患者を診るという。「エコーを使えば診断が早いレントゲン時代と比べると飛躍的な進歩です」(皆川氏)

 運動器エコーの利便性はそれだけではない。肩の痛みが強い場合は、注射で痛みを取り除くが、その際も運動器エコーが威力を発揮する。

 「エコーが発達する前は、注射をしても針先がどこに入っているのか、視覚的に把握できないのが難点でした。でも、エコーを使えば、肩にプローブを当てて画像を見ながら行うことができ、針を神経に刺さないよう『寸止め』することができます。100%狙った場所に正確に薬液を注入することができるのです」(皆川氏)

 このため、肩にプローブを当てて診断がつけば、そのまま、注射で痛みを取り除く治療まで行うことが可能だという。

 注射に用いる薬液はヒアルロン酸製剤やステロイド剤が主流だったが、皆川氏は生理食塩水を用いる方法(ハイドロリリース)を採用している。肩の筋肉(三角筋・棘下筋)の間の筋膜に生理食塩水を注入することで、その付近にある末梢神経をゆるめ、痛みやしびれを緩和することができる。ハイドロ(水)によってリリースする(解き放つ)という言葉の通り、薬剤を一切使わない注射なので、妊娠中・授乳中の女性にも副作用の心配がない。ハイドロリリースを受けた直後から、上がらなかった腕が上がるようになる、首が左右に動くようになるといった即効性があり、「1年以上ぶりにぐっすり眠れました」と笑顔を見せる患者もいるという。

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