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激しい下痢、ノロに感染? 受診すべきかの見極めは「3症状」で

ウイルス性胃腸炎の見極め方

 伊藤和弘=ライター

寒い季節になると、ノロウイルスに感染する人が増えてくる。ノロウイルスなどで起こる「ウイルス性胃腸炎」は激しい下痢と吐き気に苦しめられるが、症状は長く続かないので過度に心配する必要はない。ウイルスに感染し下痢などの症状が出たら、どうすればいいのか? 受診すべきかをどうやって判断すればいいのか? 感染症に詳しい総合診療医・感染症医の岸田直樹さんに、健康な成人がウイルス性胃腸炎にかかった場合の対処法を聞いた。

ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎に典型的に見られる3症状とその経過の典型例を知っておこう。写真はイメージ=(c) stylephotographs-123RF

多くの人が使うドアノブやトイレの便座などに要注意

 冬になると、インフルエンザやノロなど、ウイルスに感染する人が多くなる。これは低温・乾燥を好むウイルスが多いため。ウイルスが元気になって感染症になる人も増えるわけだ。ノロウイルスに感染すると胃腸炎になり、激しい下痢や嘔吐(おうと)を起こすことはご存じだろう。

 岸田さんは「冬はアデノウイルスやロタウイルスの感染も多くなりますが、中でもノロウイルスが最も多く、成人のウイルス性胃腸炎で症状が強い場合、半分以上はノロウイルスだと思います」と指摘する。

 ノロウイルスの感染経路には、ウイルスに汚染された食品を加熱が不十分なまま食べることによる「経口感染」や、ウイルスに汚染された手や物に触れ、それによって最終的に口などにウイルスが入る「接触感染」などがある。潜伏期間は1~2日程度で、やがて激しい下痢や吐き気といった症状が表れる。

 私たちが日常生活で特に気をつけるべきは、気づかぬうちに手指がウイルスに汚染されることだ。「人間は5分に1回くらいの頻度で顔を触っているといわれていて、それにより手についたウイルスが口や粘膜(目や鼻など)、気道などから体内に侵入してしまうわけです」(岸田さん)

 不特定多数の人が触るつり革やドアノブ、多くの人が使う会社や施設のトイレの便座などには、ノロウイルスが付着している可能性がある。公衆トイレなどに入るときは、腰を下ろす前にトイレットペーパーなどで便座をしっかり拭くといい。「ノロウイルスにアルコールは効きませんが、物理的に拭き取ることでいくらか数は減らせます」と岸田さんはアドバイスする。最も確実な予防法は手洗いだ。アルコール消毒が効かなくても、流水でウイルスを洗い流すことはできる。トイレ使用後や、帰宅後、食事の前などには、流水でまめに手を洗うことを心がけよう。

本当にウイルス性胃腸炎なら受診の必要なし

 では、いざノロウイルスに感染してしまったら、どうすればいいのだろう? 岸田さんは「健康な成人であれば、水分を補給しておとなしく寝ていればいい。基本的に医療機関に行く必要はありません」と話す。

 「ウイルス性胃腸炎は『腸感冒』とも呼ばれ、要するに『おなかの風邪』です。特別な治療法はなく、基礎疾患のある人や乳幼児、高齢者でなければ、放っておいても自然によくなる。つまり受診の必要はない、といえます。乳幼児や高齢者は下痢による脱水症状などを引き起こすことがあり、その場合は医療機関の受診が必要ですが、健康な成人がノロウイルスの感染症だけで重篤な状態に陥ったり亡くなったりすることはまずありません」(岸田さん)

 ウイルスには抗菌薬(抗生物質)が効かない。基本的に治療は下痢や熱などの症状を和らげる対症療法しかないが、よほどひどくなければ下痢止め薬や解熱剤も使わない方がいいという。下痢によってウイルスは体外に追い出されるし、発熱もウイルスの増殖を抑える作用があるからだ。

 「もちろん、症状がひどくてつらいときは薬を飲んでも構いませんが、朝・昼・晩と定期的に飲む必要はありません。つらいときだけ、飲むようにしてください」(岸田さん)

 気をつけるべきは脱水だ。ノロウイルスに感染すると下痢を繰り返すので、どうしても体内の水分が失われてしまう。先に触れたように、ノロウイルス自体に人を殺す力はまずないが、体力のない乳幼児や高齢者は脱水によって命を落とすこともある。

 「食欲がなければ無理に食事をとることはありませんが、水分だけはしっかりとることを心がけてください。ただし、胃腸が弱っているのでガブ飲みすると吐いてしまいます。コツは少量頻回。1回にコップ4分の1から3分の1ほど飲んで、5分くらい空けてまた飲む。おなかの調子を見ながら、少しずつ飲むようにしましょう」(岸田さん)

 できれば塩分や糖も少し入っていた方がいいが、スポーツドリンクは「糖が多すぎて下痢がひどくなりやすい」と岸田さんは注意する。経口補水液(OS-1、アクアライトORS、アクアソリタなど)が理想的だ。

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