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大腸がんを経験した国際医療経済学者が語る「日米のがん格差」

 ステラ・メディックス

質を高める競争を促す「見える化」

 では、日本ではどのように病院を選べばよいのだろうか。

 「日本でどう病院を選ぶかは本当に難しいのです。米国では徹底した情報開示に基づき、価格や質を宣伝して競い合っていますが、日本は病院を選ぶための情報が少なすぎます」という。

 よしかわさんは「病院を選択するための情報は3段階ある」と説明する。最も重要な情報は生存率など提供した医療の結果である『アウトカム』。さらに、次いで入院期間など治療の過程を示す『プロセス』があり、最後に人員配置や検査機器などの『ストラクチャー』だ。これら3つはどれも欠かせない情報だ。本気で良い病院を選ぼうとするのなら、アウトカムやプロセスのような医療の質に直結する情報が必要なはずだ。

日本では情報が少なすぎて、どう病院を選ぶかは本当に難しいと語る
日本では情報が少なすぎて、どう病院を選ぶかは本当に難しいと語る

 しかし、よしかわさんは、「日本では医療の質に関する正確なデータもなく、広告もできません。2007年からCTやMRIのような設備はアピールできるようになりましたが、『うちには設備が整っています』という広告の仕方しかできないため、そのことが過剰な設備投資につながっている可能性があります。実際、日本は世界で最もCTやMRIが購入されています」と説明する。

 その上で、よしかわさんは、「今後は病院がCTを競い合って導入するような競争ではなく、医療の質を競い合うような競争を促す必要があります。そのためには、医療の質に関する正確な情報を集め、成績を病院に伝え、立ち位置を知らしめることが必要です。全てを公開することは難しいでしょうが、徐々に情報を公開して『見える化』を進め、消費者(患者と患者の家族)もこのような情報を見極め、判断して行くように自立し進化していくことが必要です」と強調する。

 また、米国では「キャンサーナビゲーター」(*1)と呼ばれる役割を果たす人がいる。能動的にがんに悩む人をサポートする人たちだ。情報提供もこうした人々が担う面が大きくなっている。よしかわさんは伴走者として日本でも同じような役目の人々が必要と強調する。

 日米がん格差が埋められるのか、情報の公開という点から、今後の動きに注目したい。

*1 がん患者やその家族に正しい情報を伝え、治療を進めていく上でのサポートを行う人。がん患者一人ひとりに担当がつく。医療従事者に限らず、地域のあらゆる人がナビゲーターになることができ、コミュニティセンターや社会福祉事務所など、病院に限らず様々な場所で相談に応じる。

■変更履歴 記事の年号に間違いがあったため修正しました。[2018/2/5 15:00]

アキ よしかわ(あき よしかわ)さん
グローバルヘルス財団理事長、グローバルヘルスコンサルティング会長
アキ よしかわ(あき よしかわ)さん 10代で単身渡米し、医療経済学を学んだ後、カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学で教鞭を執り、スタンフォード大学で医療政策部を設立。米国議会技術評価局などのアドバイザーを務め、欧米、アジア地域で数多くの病院の経営分析をした後、日本の医療界に「ベンチマーク分析」を広める。2014年に大腸がんの告知を受けたが克服。「がんサバイバー」の国際医療経済学者として活動。データサイエンティスト、経済学博士。

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