日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > トピックス  > つらい便秘、どう治す? 初の「便秘ガイドライン」の気になる中身  > 2ページ目
印刷

トピックス

つらい便秘、どう治す? 初の「便秘ガイドライン」の気になる中身

歳をとればとるほど男性にも増加、「隠れ便秘」も多数

 井艸恵美=ライター

便秘治療に大きな変化、エビデンスのある治療薬が次々と登場

 便秘の治療では、薬を飲む前にまず生活指導が行われる。基本は、適度に運動をして十分な睡眠をとること、そして食物繊維不足に気を付けることだ。「便秘の患者さんの中には、1日2gくらいしか食物繊維を摂っていない人もいます。わが国の推奨量は、成人男性で1日20g以上、成人女性で1日18g以上です。極端なダイエットでも食物繊維の摂取量が減り、便秘の原因になります。私の経験では、ダイエットが原因で便秘になると、その後10~20年は便秘が治らないことがあります。食生活の乱れは便秘の大元です」と中島氏は話す。これらの生活習慣の見直しを行っても便秘が改善しない場合は、飲み薬を使用する。

酸化マグネシウム:便を軟らかくするが、高齢者や腎機能の悪い人は要注意

 日本で古くから広く使われている薬は、酸化マグネシウム(商品名:マグミットほか)だ。この薬は、腸内で胃酸や膵液と反応することで塩類の濃度を高め、浸透圧を働かせて腸管から腸内へ水分を移動させ、便を軟らかくする。

 酸化マグネシウムは、繰り返し使用しても効果が弱まる(便秘が悪化する)ことがないという利点があるが、腎機能が低い人や高齢者が長期間にわたって使うと、血中のマグネシウム濃度が上がり、高マグネシウム血症になる可能性がある。高マグネシウム血症は、だるさや脱力、血圧低下などを引き起こし、命にかかわる場合があるため、高齢者や腎臓が悪い人が酸化マグネシウムを飲む場合は慎重に使用し、定期的に血中のマグネシウム濃度を測定する必要がある。

センナなどの刺激性下剤:作用が非常に強力で、依存性が高い

 もう1つ身近な便秘薬といえば、センナを代表とする刺激性下剤だろう。刺激性下剤は、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して排便を起こす効果の強い薬だ。「日本は刺激性下剤大国といわれています。刺激性下剤は薬局でも売られている薬ですが、作用が非常に強力で、毎日飲むと水のような便になってしまいます。依存性が高く、飲む量がどんどん増えるので注意が必要です」(中島氏)。

アミティーザ:慢性便秘症への確かなエビデンスあり。吐き気に注意

 近年、便秘の治療薬は進歩している。2012年から使えるようになったルビプロストン(商品名:アミティーザ)は、便秘治療薬としては32年ぶりの新薬だ。「これまでの便秘薬には、臨床試験に基づいた科学的根拠(エビデンス)はありませんでした。ルビプロストンは慢性便秘症患者を対象とした臨床試験を経て、どんな患者にどれくらい効果があるかという科学的根拠が確認されている画期的な薬です」(中島氏)。

 ルビプロストンは上皮機能変容薬と呼ばれ、今回のガイドラインで推奨度が最も高いランクに評価されている。小腸に働きかけて水分の分泌を促すことにより、便を軟らかくして自然に排出しやすくする。慢性便秘症の患者242人が、ルビプロストンを1日48μg(2カプセル)、4週間服用した臨床試験では、プラセボを服用したグループと比べて24時間以内に自発的な排便が有意に増加し、硬便やいきみなどの症状も有意に改善した(*1)。また、48週間飲み続けても効きにくくなることはなく、効果が持続するという臨床試験の報告もある(*2)。

 注意点として、ルビプロストンは妊婦には使用できない。また、「若い女性では吐き気が起こることがあります。ただ、高齢者には起こりにくいため、酸化マグネシウムを使いにくい高齢者には有効性が高い薬です」と中島氏は話す。

 なお、上皮機能変容薬にはルビプロストンのほかに、2017年3月に登場したリナクロチド(商品名:リンゼス)という薬がある。現在リナクロチドは、過敏性腸症候群(*3)の便秘型に限って使われているが、2017年9月に、新たに慢性便秘症に関する効能・効果追加の承認申請が行われており、承認されれば、慢性便秘症の患者にも使うことができるようになる見込みだ。

*1 Johanson JF, et al. Am J Gastroenterol. 2008 Jan; 103(1): 170-177.
*2 Fukudo S, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2015;13:297-301.
*3 過敏性腸症候群:腸管に明らかな異常が見つからないにもかかわらず、腸の機能異常が起こり、腹痛あるいは腹部の不快感と、それに関連する便通の異常が続いている状態。下痢型と便秘型がある。

普段は「便を軟らかくする薬」、つらいときは「刺激性下剤」

 では、これらの薬を医師はどのように組み合わせて使うのだろうか。中島氏によると、「普段はルビプロストンや酸化マグネシウムなどの便を軟らかくする薬を使い、便が出なくてつらい時だけ刺激性下剤を飲む」ことが勧められるという。

便秘の薬物治療の基本(中島氏による)

酸化マグネシウムまたはルビプロストン
(高齢者や腎機能が低い人はルビプロストンが望ましい)

つらいときだけ刺激性下剤
(センナ、センノシド、ピコスルファートなど)

*最初の治療では、まず排便させるために1回に限り刺激性下剤を使うこともある


RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 悩ましい「老眼」「飛蚊症」「ドライアイ」への対処法

    放っておいても失明につながる心配はないものの、日常生活に不便をもたらしたり、疲れや肩こりなどの体の不調を引き起こす、悩ましい目の症状。今回は、そうした「ちょっと困った目の症状」の代表例である「老眼」「飛蚊症」「ドライアイ」への対処法をまとめていく。

  • 「眠れない」を解消して抵抗力を高める、3つのNGと6つのテク

    暑い夜でもぐっすり眠るにはどうすればいいのか。そもそも睡眠は何時間とればいいのだろうか。今回のテーマ別特集では、不眠を解消するための3つのNGと、6つの快眠テクニックを紹介する。

  • 熱中症・かくれ脱水を防ぐ「水分補給」「マスク着用」のコツ

    脱水症やその一歩手前の「かくれ脱水」とはどういうもので、なぜ様々な病気につながるのか、脱水症はどんな人がなりやすく、どう予防すればいいのか。夏の今こそ知っておきたい、脱水症の怖さと対策について紹介する。さらに、夏期におけるマスク着用の注意点についても解説する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2020 Nikkei Inc. All rights reserved.