気温が下がり、空気が乾燥する冬になると、体調を崩してかぜを引く人が増えてきます。かぜの症状の中でも辛いのが咳。今回は症状に合った、咳に有効な市販薬の選び方について解説します。
「咳(せき)」とは何でしょうか?

咳はとても不快な症状で、就寝中に出始めると眠りが妨げられたり、なかなか止まらないと苦しいものです。長引くことも少なくありません。そもそも「咳」にはどのような働きがあるのでしょうか?
私たちが口と鼻から吸い込んだ空気は、気道と呼ばれる通り道を通って肺に到達します。気道は常に外気にさらされているため、空気と一緒に吸い込んだほこりやかぜのウイルスなどの異物が、気道の粘膜表面を刺激し、脳の咳中枢に伝達され反射的に咳が出るのです。これは異物を体の外に出そうとする防御反応です。
咳の原因として、次のようなものがあります。
- 分泌物(痰など)や異物、寒さなどによる刺激
- 細菌やウイルスによる気道の粘膜の炎症
- アレルギー症状
- 肺がんなど重篤な疾患
- 医薬品の副作用
咳は「コンコン」という痰のからんでいない“乾いた咳”(乾性)と、「ゴホゴホ」という痰のからんだ“湿った咳”(湿性)に分けられます。
乾性の咳は、鼻腔から喉頭まで(上気道)の炎症や喘息、アトピー咳嗽、心因性、医薬品(血圧を下げるACE阻害薬という薬など)の副作用などが考えられます。一方、湿性の咳は気管から肺まで(下気道)の炎症や慢性の気管支炎(COPD)、気管支拡張症、進行性の肺がんなどが考えられます。
かぜによる咳は通常、2~3週間で治まります。市販薬で対応できるのは軽症なかぜにともなう咳です。
1.こんな場合にはすぐに受診!
3週間以上咳が続く場合は、その原因が喘息や咳喘息、他の重篤な病気によることが考えられるので受診をおすすめします。また、3週間以内の咳でも急激に重症化する場合は受診してください。
痰に粘り気があり、黄色や緑色をしている場合は、細菌による感染症を起こしている可能性があります。症状が重症化しやすいため受診が必要です。