食べ物に賞味期限や消費期限があるように、市販薬にも薬の品質を保証する「使用期限」が決められています。薬は、食べ物のように目に見えて腐敗したりすることは滅多にありませんが、時間が経つにつれて含まれている有効成分が分解されてしまったり、副作用を起こしやすい物質に変化したりして、期待通りの効果を示さない可能性が出てきます。
市販薬は時間の経過と共に、気温や湿度、紫外線などによってその有効成分が化学変化を起こします。そこで製造後、薬の効果が保たれ、安心して使える期間を「使用期限」として、メーカーが決めています。
使用期限は、ある一定の環境下(例えば「気温25℃・湿度60%で3年間」、「気温40℃・湿度75%で半年間」などの条件)でその薬を保管した場合の、有効成分への影響や薬自体の品質などを調べ、得られたデータを基に決定しています。さらに、主に温度や湿度、光による影響を把握することで、添付文書上に記載する開封後の保管方法を決めています。
使用期限の目安は3年
市販薬の使用期限は製造から3年が目安になっています。3年より短い期間で薬剤の品質や効き目が変化してしまう市販薬には、外箱や本体に使用期限を記載しなければならないと医薬品医療機器法(正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、2014年11月25日に薬事法から名称変更)で定められています。
一方、室温保存で製造から3年以上、品質や効き目が変わらないものについては法律上、使用期限の明記を求められていませんが、現在、ほとんどの市販薬で使用期限が記載されています。ただし、使用期限とは未開封の場合での期限ですので注意してください。
シロップ剤や目薬には例外も
では、開けてしまった市販薬はどのくらいの期間であれば、品質や効き目が保たれるのでしょうか。
1錠(もしくは1回量)ずつ個包装された薬であれば、比較的環境が安定しているので、外箱の開封後であっても、使用期限内であれば使用して構わないと考えられます。一方、薬の品質や効き目が変化しやすいものは、個包装されていない瓶入りの薬やシロップ剤、目薬などです。瓶入りの錠剤やシロップ剤は開封後半年、目薬は開封後1~2カ月の間の使用にとどめるのが賢明です。

前述したように、メーカーは環境に伴う品質の変化を調べるのと同時に、劣化を極力抑える保管方法についても調べています。添付文書には「室温で保管すること」「直射日光の当たらない涼しいところで保管すること」など、詳しい保管方法について記述があるので、そちらを参考にして市販薬を保管してください。
使用期限を過ぎてしまった市販薬や、いつ開けたかわからなくなってしまった薬は処分するようにしましょう。1年に1回は救急箱の中身を点検して、整理することをお勧めします。
