「今日は体がだるい。頭もぼーっとしている。寒気もあるから、熱を測ろう」と、あわてて体温計や解熱剤を探しに行くということはよくあります。今回は熱が上がるメカニズムと発熱した時に使う市販薬について学びましょう。
「熱」とは何でしょうか?

「感染症法」では37.5℃以上を発熱、38℃以上を高熱と分類していますが、自分の平熱より1℃以上高ければ熱があると考えてよいと思います(次ページコラム参照)。ですから、常日頃から自分の体温を測り大体の平熱を知っておくことは大切です。
体温が上がるのは、身体の防御反応の一つであり、体温が上がることでウイルスが増殖しにくくなる一方、免疫機能に関与する白血球やマクロファージなどが働きやすくなります。以前は「熱が出たら、すぐに熱さまし(解熱剤)を与えるのが良い」とされてきましたが、現在は少なくとも発熱が軽度で辛くなさそうなら、「解熱剤は必要ない」、むしろ「使わない方が良い」といわれています。
では熱を下げる必要があるのはどのような時でしょう。それは高熱が続くことで体力が消耗し、食事や水分が十分取れなくなってしまった時です。このような場合は一時的に薬を使って下げる必要があります。
1.こんな場合はすぐに受診!
熱がどのくらい上がったら、また、どんな症状が出たら受診したらよいのかには目安があります。
(1)突然、38℃以上の熱が出た場合
子供の場合、生後3カ月未満は即受診、それ以外は熱の高さだけでなく、体の状態(顔色、元気の有無、意識がはっきりしているか、呼吸の様子、体のどこかに痛みがあるか、嘔吐したか)をも合わせてみます。それほど熱が高くなくても、機嫌が悪く、食欲が落ち、尿の回数が減っている時(脱水症状)は受診しましょう。インフルエンザなどの場合は38℃以上、重症な熱射病では40℃以上の高熱が出ることもあります。
(2)微熱(37.0~37.9℃)が3日以上続くとき
(3)市販薬を使用しても熱が下がらない場合