満員電車に終わらない仕事、食べ過ぎ・飲み過ぎなど、毎日のストレスのしわ寄せは、胃腸に行っているかもしれません。今回は、胃腸の不調を改善するのに有効な、市販の胃腸薬の選び方について解説します。

誰にでも、「胃腸の調子が悪い」という経験はあると思います。胃が痛い、胸やけがする、もたれる、ムカムカする―など、市販薬で対応できる胃腸の不調は多岐にわたります。
市販の胃腸薬には、胃腸の動きを抑えて痛みを止めるもの(H2ブロッカーなど)と、逆に弱った胃腸の働きを助け、胃腸の動きを良くするもの(消化管運動改善成分など)がありますので、症状の見極めが大切です。間違った薬を選んでしまうと、かえって症状を悪化させることになりますので、注意しましょう。
1.こんな場合はすぐに受診!
胃の痛みが激しい時や急に痛み出した時は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の可能性が考えられますので、市販の薬を服用せず、医療機関(消化器内科など)を受診してください。
また、便の色を見て真っ黒(タール便)の時には、胃や十二指腸から出血していることが心配されるので、すぐに医療機関を受診しましょう。また、市販の胃腸薬を飲んでいても症状が改善しない場合や、症状が長く続く場合にも受診してください。
2.症状のタイプと合う成分
胃の痛みには鎮痛・鎮痙成分や局所麻酔成分、胸やけ・げっぷにはH2ブロッカーや制酸薬
一時的な胃の痛みの場合は、胃腸鎮痛・鎮痙成分(ブチルスコポラミン臭化物など)や、局所麻酔成分(オキセサゼイン)を含んだ商品を選びます。胸やけがする、げっぷが多いという場合には、胃酸過多が考えられます。このような時には胃酸の出過ぎを抑えるH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬、ファモチジンなど)を含む胃腸薬がお薦めです。症状が軽い場合には、胃酸を中和する制酸薬(炭酸水素ナトリウムなど)でもよいでしょう。
ムカムカする、食欲がないときは消化管運動改善成分入りの薬を
胃がムカムカしてもたれた感じ、食欲がないなど胃の動きが悪いと思われる症状には、消化管運動改善成分であるトリメブチンが含まれている商品がよいでしょう。このような症状の場合には、胃腸の動きを抑える(抗コリン作用*がある)鎮痙成分は逆効果なので選んではいけません。