「熱が出た」「お腹を下した」―子どもの病気はいつも突然です。救急車を呼ぶほどではないけれど、医療機関が休みの夜間・休日の場合、市販薬を使って自宅で様子を見ようとすることもあるでしょう。市販薬を子どもに使うときには、年齢や剤形(薬の形状)などを注意しなければいけません。具体的な注意点を解説していきます。
【Check1】その薬を使える年齢か?
薬の飲み方や保管方法などは添付文書と呼ばれる説明書に書かれています。「用法用量」「使用上の注意」に、その薬を使っていいとされる年齢が書かれています。というのも、成長過程の子どもは薬を代謝・排泄する肝臓や腎臓の働きが未熟なため、使用できる成分が限られています。
例えば、解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンは小児でも服用できますが、イブプロフェンは15歳未満の使用は原則禁忌とされています。大人が普段使っている市販薬すべてが、量を調節すれば子ども使えるというわけではありません。
使用できる年齢は、よく「7歳または8歳」「15歳以上」という区分が設けられています。これは、15歳になると代謝・排泄機能が、大人とほぼ同じに、7.5歳では大人の半分になるといわれているからです。
【Check2】子どもが飲みやすい形か?
大人の場合、内服薬といえば錠剤やカプセルを思い浮かべることでしょう。子どもは粒の大きな薬を噛まずに丸ごと飲み込むのが苦手です。子どもでも使える成分が配合されていても、誤嚥の危険性がある製品は、5歳未満は服用できず、添付文書には「のどにつかえるおそれがあります」と記載されています。
子どもに使いやすい薬の形として、「シロップ剤」「粉薬」「坐薬」などがあります。飲み込むことができるのなら、シロップ剤や粉薬がいいでしょう。食欲がない、もしくは離乳食を始める前の乳児なら坐薬をお薦めします。
【Check3】飲ませる量の調節は必要?

前述した「粉薬」と「シロップ剤」は、飲ませる量を細かく調整できるのが特徴です。子どもの体重(体格)に合わせた量が添付文書の用法用量の項目に記載されているので、必ず確認しましょう。
シロップ剤は、底の方に有効成分が沈んでいることがあるので、量りとる前に瓶を軽く振って中身を均一にしましょう。その時、泡が立つと正確に量れなくなるので注意してください。
商品に付属している計量用のカップは、使用後に必ず洗い、乾燥させて清潔に保つようにしましょう。また、一度開封したシロップ剤には雑菌が混入する可能性がありますので、冷蔵庫で保管してください。
市販薬を子どもに飲ませる時のチェックポイント
- その薬を使える年齢か?
- 子どもが飲みやすい形か?
- 飲ませる量の調節は必要?
次ページからは、粉薬の飲ませ方のコツについて説明しましょう。
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- 薬剤師直伝! 子どもの粉薬の飲ませ方