食事する時間は毎日違うし、就寝時間もまちまち―。規則的な生活リズムを送ることが難しい人にとって、薬の飲む回数を守ることは難しいかもしれません。今回は、薬の飲み忘れに気付いた時にどう対処すればよいかについて解説します。

これまでに、「薬は、効果を発揮させるために一定の血中濃度を維持しなければならないこと」、「薬によって代謝されるスピードが異なるため、飲む回数が違うこと」を解説しました(参考記事「なぜ薬によって飲む回数が違うの?」)。
今回は、これらを踏まえて、もし薬を飲み忘れてしまったときに、どうしたら良いのか解説しましょう。
薬を飲むと血中濃度が大きく上がり、その後減少していく
薬を服用すると、配合成分が体内に吸収されます。それに伴い、血中濃度が上がっていき、ある値を超えると、効果を発揮するようになります。濃度が高くなるにつれ効き目は強くなりますが、同時に副作用も現れやすくなり、最悪の場合死に至ります(致死量)。
そのため、薬の作用を最大限に発揮させ、かつ副作用の発現を最小限に抑えて使うために、「有効血中濃度(治療濃度域、有効域)」が有効成分ごとに決められています。薬は体の中を巡りながら代謝され、時間とともに血中濃度が下がっていきますが、有効血中濃度の下限(最も低い値)に近いタイミングで服用すれば、血中濃度は再び上昇します。有効血中濃度の範囲内で推移すれば、効果が維持されるのです(図1)。