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COML患者塾

2025年に向けて医療介護がこう動きます

【話題提供】山口 育子 (COML理事長)

 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

 ただ、2025年問題を考えたとき、たとえば一般病床のなかで急性期の患者さんに対応した病床ばかりが多くても、複数の慢性疾患を抱えた高齢の患者さんの増加に対応しきれません。これまで都道府県は病床数の規制をしているものの、機能までは把握していませんでした。そこで2014年度から病床機能の報告制度がスタートしました。具体的には一般病床における病棟単位の機能を「現状」と「今後の方向性」の2つに分けて都道府県に自己申告で報告するのです。機能の種別としては「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4種類です。情報は患者・住民にわかりやすい内容にして公表されることになっているので、患者の病院選びに役立つのではないかと私は期待しています。

さらに新たに始まった制度

 さきほどの病床機能報告制度も一連の動きのなかに含まれるのですが、2014年6月、医療介護総合確保促進法が公布されました。これは正式には「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律」と言い、医療法や介護保険法の改正とともに19種類の法改正がおこなわれました。

 医療介護総合確保促進法では消費税の増税分を活用した新たな基金を都道府県に創設し、都道府県ごとに基金の使い道の計画を策定することになっています。医療介護の連携を強化する目的なので対象となる事業は、医療従事者の確保・養成、在宅医療の推進、医療提供体制の改革に向けた基盤整備の3つです。

 また、病床機能報告制度を受けて、都道府県は2015年度に地域医療構想(ビジョン)を策定することも決められています。策定に関するガイドラインについては9月から検討会が始まり、私もメンバーの一員として意見を伝えているところです。

 これ以外にも、医療法に「国民の責務」が盛り込まれたこと、医療事故調査のしくみや臨床研究中核病院、地域医療支援センターが医療法に位置づけられたこと、また介護保険法においてもサービスや費用が見直されたことなど、たくさんのことが法律上、整備されました。私たちが国民の責務として①機能分担および業務の連携を理解し、②適切に医療機関を選択し、③医療を適切に受ける、そのためには情報が欠かせません。どんな情報が必要なのか、どんな視点で病院を選べばいいのか、私たち自身も考え、情報が不十分であれば求めていかなくてはいけないと思います。

(2014年10月4日開催/まとめ:三好菜々)

グループディスカッション

Aさん 私はフルタイムで働きながら、高齢の母を一人で在宅介護しています。育児中のお母さんが赤ちゃんを「ちょっとみていてほしい」と言えば、助けてくれる人はまわりに案外います。でも介護中の私が高齢の母を「ちょっとみていてほしい」と相談したところで引き受けてくれる人はいません。血縁者でさえ無理です。現状の介護は家族一人にかかる負担がすごく大きいと感じています。私は国が新たなシステムを作って、医療と介護、行政が縦割りをやめて、一人の患者さんをサポートするチームになってほしいと思います。そうしないと国が勧める在宅で最期まで看るのは難しい。それに介護者の収入に対しても保障が必要です。

Bさん 私はケアマネジャーでグループホームを担当していますが、私も在宅介護、在宅医療の推進には無理があると思っています。Aさんがおっしゃるように支える家族の人数が少ない場合の在宅療養は、いまのシステムでは難しいでしょう。それに近所付き合いも希薄になった現代で、独居や老々介護だとさらに大変です。

Cさん 支えるシステム側もマンパワーが不足していますよね。介護職は大変なうえに給料が安い。すぐやめる人も多いと聞きます。それに訪問看護ステーションもナースが足りないと聞きました。外国人の受け入れはどうなったんでしょうね。

Dさん マンパワーがないからといって、外国人に看てもらうのは抵抗があります。

Eさん 私の両親も外国の人に介護してもらうのは嫌だと言っています。でも日本人が海外で医療を受けることがあれば、全員スタッフは外国人です。私も仕事のためフランスで10年以上生活し病院を利用したことがありますが、確かに日本人の医療者のほうが合うなと思ったこともあります。でも、合うか合わないかというのは国籍ではなく人による部分が大きいと思います。お金のためではなく、介護職にやりがいを感じ、好きで勉強している外国人も実際にいます。私はそういう方であれば受け入れてもいいのではないか、受け入れなければ足りない状況は変わらないと感じています。

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療に参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現を目的としている。患者の悩みに対する電話相談、各種セミナー・講座などに積極的に取り組んでいる。

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