施設選びにあたって

医療機関や介護事業所であれば、それぞれ監督機関があります。しかし、高齢者向けを謳っている施設のなかにはどこの監督も受けず、未届けで運営されている施設もあります。法に則っているか、都道府県に届け出ているか、まず確認してください。
また、見学に行くことは大切ですが、その際、建物やインテリアなど目先の豪華さに惑わされないこと。そしてこの先、必ず心身の機能が低下していくことを念頭に施設を選ぶこと。つまりその施設に入居してから介護や医療が必要になったとき、どのようにケアを受けられるのかも調べておく必要があります。
ほかにも経営者や責任者をはじめとしたスタッフも、ずっと同じではありません。「この人(スタッフ)がいるなら」と思って決めても、どこかほかの施設に移ったり辞めてしまったりすることもあります。特定の人の印象だけで施設を選ぶことはやめておいた方がいいかもしれません。
高齢者向けの施設や住居ではいろいろな問題が起き、報道されることも多々あります。自分の人生がかかっていることなので、施設についてどんなに調べても、それで十分ということはないと思います。元気なうちから情報を集めて知っておいてほしいと思います。
(2014年7月5日開催/まとめ:三好菜々)
Aさん 父をずっと自宅で介護していたのですが、最期を迎えたときは病院に入院しました。病院では延命治療をされることも少なくないと思うのですが、施設で自然に最期を迎えることは可能なのでしょうか?
上農さん このタイプの施設であれば看取りをしてくれる、という答えはありません。施設にもよるし、同じ施設内でも看取りをするフロアと看取りをしないフロアが混在している場合もあります。また、スタッフや経営者がかわれば、方針がかわることもあります。ただ、看取りまでしてくれる施設はなかなかないように思います。やはり急変時は病院に搬送することが多いでしょう。
Bさん どのように施設を選んで、どのように申し込みをするのかを知らないので、まだどこにもアプローチできないでいます。何か良い方法はありますか?
Cさん 私は76 歳ですが、子どもがおらず、賃貸マンションに80歳の夫と住んでいます。いまは二人とも元気で介護も必要ないのですが、今後のことを考えてずっと施設を探しています。多くの施設に見学に行きましたが、「この施設は良いな」と思うところは費用が高いように感じます。私は新聞に広告が載っていたら電話をしてみて見学可能かどうか尋ねたりしていますよ。たくさん見ることが大切だと思います。
上農さん サービス付き高齢者向け住宅協会、全国有料老人ホーム協会、全国介護老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会など団体のホームページに情報や見学案内も載っているので、ぜひ見てみてください。
Cさん 施設の見学に行くこともそうですが、上農さんのおっしゃる通り、積極的に情報を集めて勉強しておいて損はないと思います。受け身でいても必要な情報は入ってきません。私たち夫婦は情報を集め、話し合って、いまではどちらかの身に何かあったときに相手が困らないように、公正証書を作成したり遺言を残したり、任意後見契約も第三者と結んでいます。
