日経グッデイ

COML患者塾

医療機能の分化って? 医療機関・介護施設の種類を解説します

【話題提供】山口 育子 (COML理事長)

 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

いま国は医療機能の分化を進め、病床機能に応じた患者を診るよう促しています。私たちが病状に合った適切な医療機関を受診するためには、まずはどんな医療機関があるのかを知ることが大切です。そこで今回の患者塾では、理事長の山口育子より、医療機関や介護施設の機能について解説しました。(本記事は COML会報誌2015年5月号からの転載です)
医療機関
特定機能病院 高度医療の提供や開発、評価、研修の機能を備えた病院として厚生労働省が承認した病院。現在、大学病院本院と国立がん研究センター中央病院、国立循環器病研究センター、大阪府立成人病センター、がん研有明病院、国立国際医療研究センター病院、静岡県立がんセンターの84病院。
※今年4月までは86病院だったが、4月末に東京女子医科大学病院、群馬大学医学部附属病院の承認が取り消されることが決まったため84病院に。
救命救急センター 急性心筋梗塞や頭部外傷など、命の危機に瀕した重篤な患者に対し、高度な医療技術を提供する三次救急医療機関。
急性期病院 医療法による定義はないが、発症してから症状が落ち着くまでの間、専門的・積極的な治療を短期間に集中しておこなう病院。かつての総合病院の多くが急性期病院として機能。二次救急や臨床研修病院、DPC 対象病院になっていることが多い。
地域医療支援病院 1998年から地域医療の充実のために2次医療圏(自然条件や社会条件、患者の受診動向を踏まえ、入院医療を提供できる地域的な単位)ごとに整備される病院。施設の共同利用、地域の医療者の研修などもおこなう。原則200床以上の国公立、あるいは公的病院、社会福祉法人など個人で開設していない医療機関に認められている。紹介率80%以上、紹介率65%以上かつ逆紹介率40%以上、紹介率50% 以上かつ逆紹介率70%以上という条件が大きな要件になっている。
がん診療連携拠点病院 全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、国から指定を受けた病院。2015年4月1日現在、がん診療連携拠点病院は401病院。専門的ながん医療の提供、地域のがん診療の連携協力体制の構築、がん患者に対する相談支援及び情報提供等をおこなっている。各都道府県が独自に認定している拠点病院もあるが、診療報酬点数の加算の対象にはならない。
開放型病院 病院の施設や設備を地域の医療機関(主に開業医)に開放、利用できるようにしている病院。開放病床は5床以上設定することが条件。地域の開業医が自分が診ている患者に入院治療が必要になったとき登録している開放型病院に入院してもらい、その病院のドクターと共同で診療する。
医療機関
地域包括ケア病棟 高度急性期・急性期病院から急性期を脱した患者の受け入れ、在宅や施設入所者の急性増悪の受け入れをし、60日を限度とした入院治療やリハビリテーションによって在宅復帰支援をおこなう病棟。対象となる患者の重症度、医療・看護必要度による評価要件がある。また、在宅復帰支援の担当者(MSW)、病棟に常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が1名以上配置され、リハビリテーションや薬剤料などの診療にかかわる費用は包括されている。
回復期リハビリテーション病棟 急性期の治療が一段落し、早い段階から集中的なリハビリテーションをおこない、家庭復帰を積極的にはかることが目的の病棟。脳血管疾患、骨折、神経や靭帯の損傷など、疾患ごとに回復期リハビリテーションの対象となる期間(発症から○ヵ月以内など)が定められている。
療養病棟 症状が比較的安定し、長期の入院療養が必要な患者のための病床。療養病床が集まった病棟を療養病棟と言う。現在は、療養病床は医療保険適用のものと、介護保険適用(介護療養型医療施設)のものに分かれる。
緩和ケア病棟 がんと後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者を対象とし、痛みをはじめとするさまざまな苦痛を緩和することが目的の病棟。キリスト教的な影響がある緩和ケア病棟は「ホスピス」、仏教的影響が及ぶ緩和ケア病棟は「ビハーラ」とも称されている。ホスピスの由来は、中世ヨーロッパで旅の巡礼者を宿泊させた小さな教会。ビハーラも元はサンスクリット語で寺院、僧院を指す。
有床診療所 20床未満の入院ベッドを持っている診療所。
在宅療養支援診療所 地域において在宅医療を支える24時間の窓口として、他の病院、診療所などと連携を図りつつ、24時間往診、訪問看護などを提供する体制をとっている診療所。
在宅療養支援病院 200床未満か半径4㎞以内に診療所のない地域において、在宅療養支援診療所と同様に、在宅医療の主たる担い手となっている病院。
強化型在宅療養支援診療所・強化型在宅療養支援病院 (1)在宅医療を担当する常勤の医師が3名以上配置、(2)過去1年間の緊急の往診の実績が5件以上ある、(3)過去1年間の在宅における看取りの実績が2件以上ある在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院。地域において在宅医療を支える24時間の窓口として、他の病院、診療所などと連携を図りつつ、24時間往診、訪問看護などを提供する診療所。または、診療所のない地域において、在宅療養支援診療所と同様に、在宅医療の主たる担い手となっている病院。
在宅療養後方支援病院 200床以上の病院で、緊急時に入院を希望する病院としてあらかじめ届け出ている患者が緊急時に陥ったときいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れる。入院希望患者に対して在宅医療を提供している医療機関と連携し、3月に1回以上、診療情報の交換をしていることが条件。
介護施設(介護保険対象)
特別養護老人ホーム 介護保険が適用できる施設で、要介護3以上の介護が必要な人を対象としている。待機者が200~300名という施設も多い。
介護老人保健施設 介護保険が適用できる施設で、要介護1以上の人が対象。医療機関と自宅の中間的位置づけで、在宅復帰を目指して医学・看護管理や機能訓練をおこなう。介護療養型医療施設からの転換のため、2008 年に介護療養型老人保健施設(介護療養型医療施設より医師数は少ないが看護者数は同じ。老健施設より看護者数が多い)が新設された。
介護療養型医療施設 介護保険適用の医療施設(療養病床)。
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療に参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現を目的としている。患者の悩みに対する電話相談、各種セミナー・講座などに積極的に取り組んでいる。