日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > あの検査、受けてみました  > 2社の検査結果が真逆! 星占いか?  > 4ページ目
印刷

あの検査、受けてみました

2社の検査結果が真逆! 星占いか?

遺伝子検査、受けてみました【最終回】

 まんだ ももゆき=医療ライター

「遺伝子」という名称に惑わされている

 ここまで、2社の検査結果を見てきたが、一般向け遺伝子検査そのものが、まだそれほど強固な研究成果の上に成り立っているサービスでもないことが、わかっていただけたのではないだろうか。第2回の「私は85歳までは生きないらしい」でも書いたように、今の遺伝子検査の解析や判定には科学的エビデンス以前の、恣意的な要素が多すぎるのだ。

 いわく、同じ疾患でも企業によって解析するSNPが異なるし、SNPの数も異なる。リスクを計算するための根拠となる論文もまちまち(欧米人だけの研究成果をベースにした判定も少なくない)。複数のSNPの研究成果を基にしている場合、それぞれのリスクをどう重みづけして最終的なオッズ比を出しているのかわからない・・・。

 たった一つ、二つ、あるいは10個、20個のSNPで病気や体質が決まるわけでもないのに、科学的な裏付けがあるようにみえるのは、「遺伝子」という名称に惑わされているからかもしれない。

生活改善の指導内容は新鮮味ゼロ

 ところで、両社とも遺伝子検査の判定に加えて、サイトには当該疾患にかからないための、生活や食事に関する指導も記載されている。また、マイコードには有料の「生活改善プログラム」なるメニューも用意されている。管理栄養士が生活改善のアドバイスをしてくれるのだという。

 もっとも、サイトの指導内容やアドバイスはどれもごく当たり前のものばかりで新鮮味はない。酒は飲みすぎるな、たばこはやめろ、野菜や魚を食べろ、塩分は控えろ、運動をしろ、ストレスをため込むな、よく寝ろ・・・。病気は先天的な遺伝要因と、後天的な環境要因などが複雑に絡まり合って発症するので、せめて環境要因から改善しましょう、ということだろうが、これまで耳にたこができるほど聞かされてきたことばかりなのが、なんとも残念。数万円も払って遺伝子をわざわざ調べたのに・・・。この辺り、サービス改善の余地はまだ残されているかもしれない。

 10月21日には、化粧品・健康食品のファンケルが、11月から遺伝子検査事業に参入するとの発表を行った。こちらは遺伝子検査で生活習慣病のリスクを解析して、顧客ごとに相応しいサプリを提案するのだという。疾患リスクそのものの根拠もまだ希薄な上に、効果のエビデンスが医療用医薬品ほどには確立されていない健康食品で、果たして“予防医療”が可能なのかしら・・・。

リスク100倍、200倍の病気を知らせて

 それはさておき、最後に、私自身が遺伝子検査を受けてみての最大の不満を述べておこう。それは、2倍、3倍程度のリスクではなく、100倍、200倍のリスクがある病気を知らせてほしいということだ。実際に一部の単一遺伝子疾患や、乳癌の遺伝子なども調べてしまっているのだから。もっとも、そうなると、医師が介在せざるを得なくなり、医療の領域に入ってしまうので、こういった簡便なサービスが成り立たなくなってしまうかもしれないが。

 しかし、体質や性格はともかく、病気に関しては、遺伝子検査がより医学的、かつ現実的なサービスに“成熟”することを期待したい。実際、遺伝子検査が急速に普及し出していることで、人間ドックなどの医療機関側のサービスも大きな変貌を迫られているという。ヒトのゲノム解析が今より簡便かつ安価にできるようになれば、将来発症する疾患のリスクを医療機関が判定するのが一般的になるかもしれない。もちろん、アンジェリーナのように、“致命的な病気”の発症リスクが高いことがわかった時のフォロー体制だけは、しっかりと確立しておいてほしい。

 今回の遺伝子検査、私自身の生活習慣を激変させるまでには至らなかった。ちょっとトレールランニングでも始めようかと思ったくらい。なにせ世界的なマラソンランナーになれたかもしれないのだから。ということで、ちょっくら山に走りに行ってきます。(終わり)

まんだ ももゆき
医療ライター
医療雑誌の編集に長年携わり、現在も医療関連記事の取材・執筆や書籍編集に従事。50歳代半ば、体重も50キロ台半ば。趣味は山登り、酒は角瓶か芋焼酎。

先頭へ

前へ

4/4 page

日経グッデイ春割キャンペーン

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 肩の痛みから高血圧まで、「姿勢の崩れ」は様々な不調の原因に

    「姿勢」が、肩こりや腰痛の原因になることを知っている人は多いだろうが、足の痛みや高血圧、誤嚥性肺炎まで、全身の様々な不調・疾患の原因になることをご存じの方は少ないかもしれない。これまでに掲載した人気記事から、姿勢と様々な病気・不調との関係について知っておきたいことをコンパクトにまとめた。

  • あなたも「隠れ心房細動」?! 高齢化で急増する危険な不整脈

    脈の速さやリズムが乱れる「不整脈」。その一種である「心房細動」は、高齢化に伴い患者数が増加しており、潜在患者も含めると100万人を超えると言われている。心房細動の怖いところは、放置すると脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす可能性があることだ。本記事では、心房細動の症状や早期発見のコツ、治療のポイントなどをコンパクトにまとめた。

  • 変形性膝関節症のつらい痛みを改善する運動とは?

    年を取ると多くの人が感じる「膝の痛み」。その原因で最もよくあるケースが「変形性膝関節症」だ。膝が痛いと外出がおっくうになり、体を動かす機会が減るため、そのまま何もしないとますます足腰が衰えてしまう。だが実は、変形性膝関節症の痛みをとり、関節の動きを改善するために有効なのが、膝への負担を抑えた「運動」なのだ。ここでは、膝の痛みが起きる仕組みから、改善するための運動のやり方までをまとめよう。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday春割キャンペーン

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.