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あの検査、受けてみました

私は85歳までは生きないらしい

遺伝子検査、受けてみました【その2】

 まんだ ももゆき=医療ライター

 1.92倍と0.74倍の二つの数値を示しているわけだが、それぞれをどう重み付けして、1.41倍という数値をはじき出しているのかはわからない(サイトのどこを探してもその説明が見つからなかった)。解析したSNPが一つだけの疾患の場合は、そのSNPの平均と比較した数値がそのまま発症リスクになっているようだが…。さらに疾患発症リスクについて、どのSNPの文献を採用するか、複数のSNPが関与していると考えられる場合、どのSNPを採用するか、文献データを基に判定アルゴリズムをどう組むか、などはサービスを提供する会社によってまちまちだ。しかも、SNPと病気の関係に関する論文発表は、世界中で毎日のように行われている。

 つい先月(9月)もSTAP細胞で話題となった理化学研究所が「前立腺がんの発症に関わる23個の遺伝子多型を新たに発見」という研究成果を発表した。これによって前立腺がん発症にかかわるSNPは累計100個!もあることがわかったという。

 STAP細胞は一つもできない。SMAPは5人いる。前立腺がんのSNPは100個。さすがに100個となるともはや何が何だかわからない。ちなみに、マイコードでの私の遺伝子型の前立腺がん発症リスクは1.46倍。これは6個のSNPの発症リスクを基にはじき出した結果だという。たった6個??? 100個もあるのに…。

倍率は自分自身の病気のなりやすさではない

 そう考えると、SNPによる体質も疾患発症リスクも、文献ベースとはいうものの、現時点で根拠はそれほど強固なものとは言えなさそうだ。

 さらに言えば、日本人の平均発症リスクを1とした場合の、自分が属するSNPの集団の発症リスクを言っているに過ぎず、食道がんについては私自身が1.41倍なわけではない。その辺りサイトの説明をじっくり読まないと(あるいはよく読んでも)、早とちりする人が出てきそうだ。

 高くてもせいぜい2~3倍という低い数値をどうみるかという問題もある。前回の記事(「私はいったい何の病気で死ぬのだろう?」)でも書いたように、病気にかかる確率が極度に高い遺伝病や精神疾患は、たとえ解析の結果がわかっても、“診断”になってしまうので教えてくれない。

 少々穿った見方をすれば、個人向けの遺伝子検査は、がんや生活習慣病などのうち、検査結果が重大かつ決定的とはならない病気のリスクを知らせることでお茶を濁して、企業が消費者の遺伝子情報を集めるためのサービス―と言えるのかもしれない(消費者に知らされないSNPの解析結果も企業には蓄積される)。

 ちなみに、2倍前後という数値は、例えば、日本ではたばこを吸う人の発がんリスクに近い。発がんのリスクは、たばこを吸わない人に比べ、男性で1.64倍、女性で1.34倍とされている。肺がんの場合、それが男女とも4~5倍、喉頭がんで10倍以上となる。

 それを根拠に、「遺伝子検査を受けるより禁煙」と批判する人もいるようだが、まぁこれはこれ、禁煙は禁煙だろう。少々値が張る"占い"くらいに考えるのが妥当なところか(遺伝子情報を企業に提供してしまうのは、"研究"への協力を"同意"してしまっているので仕方ない)。もし、自分のSNPの肺がん発症リスクが一般の人よりも高かった人が、遺伝子検査をきっかけに禁煙したとしたら、それはそれなりに意味があることではある。

 マイコードでひとしきり楽しんで、遺伝子検査にも興味が薄れた9月17日、ジーンクエストからやっと「解析完了」のメールが届いた。検体を送付して29日が経っていた。(続く)

まんだ ももゆき
医療ライター
医療雑誌の編集に長年携わり、現在も医療関連記事の取材・執筆や書籍編集に従事。50歳代半ば、体重も50キロ台半ば。趣味は山登り、酒は角瓶か芋焼酎。

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