中年男、遺伝子検査を受けてみる
巷で流行りの遺伝子検査を受けてみた。結果の一部をお見せしよう(写真1)。全体として「あなたは癌のリスクが高い」という判定結果のようだ。さて、50歳代の中年男性はこの結果をどうとらえたらいいのだろう…。それを考える前に、検査を受けるに至った経緯から話していこう。
人間、50年以上生きていると、あちこちへたってくる。友人の中には心筋梗塞になったやつ、ペースメーカーを入れたやつ、白内障で眼内レンズを入れたやつ、めまいに悩まされているやつ……など、がたが来た人間が結構いる。私自身は幸い、25年前に、口腔内腫瘍(告知はされなかったが、悪性だったと今では思っている)の摘出手術を受けて以来、大病はしていない。
とはいうものの、酒の抜けは悪くなり、もの忘れも激しくなった。ぶり返す腰痛と膝痛で山登りではもう20kg以上のザックを背負っての縦走は無理だ。免疫力低下のせいか、足の爪白癬は10カ月以上内服薬で治療をしているがまだ完治していない。
そんな中、いったい私はどれくらい長生きして、どんな病気で死ぬのかが無性に知りたくなってきた。この夏、慢性心不全持ちの78歳の母親が緊急入院をし、生死の境をさまよった。糖尿病を長年患い、白内障、心筋梗塞、腎機能低下など色んな合併症を次々起こし、年に数度は田舎の病院のICUに運び込まれている。今回もなんとか助かったが、実家に帰り病院に母親を見舞う度に、じわりじわりと体を蝕んでいく糖尿病の恐ろしさを実感する。私も早晩、糖尿病を患い合併症に苦しめられるのか、それとも母方の親戚に多い癌なのか…。
山仲間でもある日経GoodayのY編集長にそんな話をすると、「それなら、流行りの遺伝子検査を受けてみませんか。病気のなりやすさがわかるそうですよ」と勧められた。遺伝子検査? 女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳房を予防切除したのは確か遺伝子検査で乳癌になりやすい遺伝子変異がわかってのことだった。ある意味、そんな“恐ろしい”検査を受けていいものなのか…。一瞬迷ったが、「結果をありのまま書いてくれるなら、編集部で費用を持つことも(ちょっと)考えます」とのY編集長の当てにならない後押しもあり、早速検査キットを注文をすることにした。
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- 怖くはないが、なんか物足りないぞ