会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。
Q 健診の最新結果に異常がなければ心配はいらない?
A いいえ。経年変化を見て数値が悪化していたら要注意。

職場健診の結果通知書が届き、総合判定や各検査項目の判定を一通り確認したあと、異常がなければ「よかった」と安心して、通知書を処分している人もいるかもしれない。
だが、ちょっと待って。職場健診の結果通知書は、毎年保管しておくことが望ましい。健診での各検査項目の数値は、良し悪しを判断する指標として示されている基準範囲と比較するだけでなく、毎年の変化を観察することも大切だからだ。
例えば、数値が基準範囲内であっても、前年やその前の年と比べると、徐々に上昇したり低下したりしている時は、注意した方がいい場合もある。
三井記念病院 総合健診センター特任顧問の山門實氏は、「少なくとも、過去3年間の結果は把握しておくといいでしょう。基準範囲内でも数値が悪化してきている場合、そのままの生活を送っていると3年程度で基準範囲を超える可能性が高いといえます。健診の結果通知書でこうした経年変化を見ていけば、未病(病気に進行しつつある状態)対策や発症予防につながります」と話す。
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