会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。
Q 職場健診を受けてさえいれば、大きな病気はまず発見してもらえる?
A いいえ。生活習慣病の多くは見つかるが、例えばがんなどは見つかりにくい。

企業が実施する定期健康診断(職場健診)の目的は、職場における労働者の安全と健康を守ること。職場健診を受けることで、自分の健康状態を知り、生活習慣病の予防や隠れた病気の早期発見に役立てることができる。ただし、職場健診を受けていれば、病気が100%見つけられるというわけではないので、油断は禁物だ。
東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター教授の奈良信雄氏によると、職場健診で発見しやすい病気は、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病のほか、肝臓疾患や腎臓疾患など。これらは職場健診の基本的な血液検査や尿検査などでスクリーニング(ふるい分け)できるので、かなりの確率で発見できる。生活習慣病は自覚症状が少なく、放置すれば心疾患や脳疾患など命にかかわる病気につながるリスクが高まる。早期発見のために、職場健診の機会を生かさない手はない。

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