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知ってビックリ! 健診のウソ・ホント

血圧は低いぶんには心配ない?

 田村知子=フリーランスエディター

 加えて、心臓の機能が弱っていたり、食事不足や熱中症などで脱水状態になっている場合は、血圧が下がりやすい。「この状態を放置しておくと、脳、心臓、腎臓などの心血管系の臓器障害を起こす恐れがあるので、低血圧の症状が出ていたら血圧が100 mmHg以下でなくても医療機関を受診すべき」(平橋氏)という。

 冒頭で触れた起立性低血圧の症状は、不規則な睡眠や食生活、運動不足など、生活習慣の乱れから血圧を調整する自律神経の働きが低下すると、若い人でも出ることがある。その場合は、「生活習慣の改善や、適度な運動、乾布摩擦などを取り入れるのが良いといわれています」(平橋氏)。

降圧薬の服用による低血圧に要注意

 最近増えているのは、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、脳血管障害などの生活習慣病の治療で、降圧薬を服用している人が低血圧の症状を起こすケースだ。「もともと血圧が高く治療として降圧薬を飲んでいる場合、血圧の下げすぎのケースもよくあります。収縮期血圧が110 mmHgでも、めまいや立ちくらみなどの症状が出ていれば、一般的には降圧薬の量を減らすことが必要となります」(平橋氏)。

 特に高血圧と糖尿病を合併して降圧薬を服用している高齢者は、起立性低血圧を起こして転倒し、骨折や頭部外傷を負ってしまうケースも多いという。こうした患者は、高齢であることに加え、糖尿病の合併症として自律神経障害を来している場合も多い。服用している降圧薬としては、利尿薬や、「α遮断薬」など交感神経を抑えるタイプのものなどが考えられる。

 また、脳梗塞の既往のある場合は、降圧薬で血圧を下げ過ぎると、かえって脳梗塞の再発リスクを高めることになるので、注意が必要だ。「降圧薬を服用している人は、低血圧の症状があっても『治療のためには仕方がない』と思って医師に相談せず、見逃されているケースが多く見受けられます」(平橋氏)。こうした降圧薬を服用している高齢者は、収縮期血圧が100 mmHg以上であっても低血圧の症状が出ることもあるという。

 これらの事態も考慮して、日本高血圧学会が2014年に発表した「高血圧治療ガイドライン2014」では、血圧をどこまで下げるべきかの目安である「降圧目標」が緩和されている。「若年・中年患者」の場合は、それまでは「収縮期血圧130 mmHg未満/拡張期血圧85 mmHg未満」を目指すとされていたが、今回の改訂では「収縮期血圧140 mmHg未満/拡張期血圧 90 mmHg未満」に変更された。

 これらの生活習慣病の治療を受けている人も、低血圧の症状が出ていないかどうかを普段の生活で意識しておき、めまいや倦怠感などを感じたら医師に相談するとよいだろう。

平橋淳一(ひらはし じゅんいち)さん
慶應義塾大学医学部 総合診療科 血液浄化・透析センター 講師
平橋淳一(ひらはし じゅんいち)さん 1993年慶應義塾大学医学部を卒業。総合診療科では、健康診断でいくつかの臓器にわたる異常を指摘され、受診する診療科の選択に困るケースなどで、臓器の枠にとらわれない幅広い医療を提供している。専門は、腎臓病学、自己免疫性血管炎、透析療法。日本内科学会認定内科医。総合内科専門医。日本腎臓学会腎臓専門医。日本透析医学会専門医。

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