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「わたしも、がんでした」

家族ががんと診断されたら?

病院編 がんと共に生きる、働く時代がやってきます(4)

 堀田 知光=国立がん研究センター理事長

「がんになった=仕事も、人生ももうおしまい」という時代は終わりました。いま、日本では、働きながら治療をするサポートシステムが整えられようとしています。がんと共に生き、働く時代。それを家族、医療のプロ、職場、地域社会など周囲の人みんなが支える時代がやってくるのです。

 そんな時代にがんになったら、本人は、家族は、周囲は、どう考えどう行動すればいいのでしょうか。まず、がん治療と研究に長年携わってきた立場から、現在おすすめできる具体的な対処法を説明します。

 また、がんになっても生きやすい社会にしていくためには、これから何が必要なのでしょうか。いま、私たちが取り組んでいることを紹介しましょう。

家族が本人の気持ちに寄り添うこと。そこから始めましょう

 身近な大切な家族ががんになる。患者さん本人同様、もしかするとそれ以上の動揺が家族のみなさんにもあるかもしれません。悩むのは当然です。

 でも、家族は、患者さんが、「がんと共に生きる」上でいちばん身近で頼りになるチームの一員です。家族は「第2の患者」とも呼ばれます。家族の方々も、患者本人同様に無理をすることなく、悩みを抱え込んでしまうことなく、自分の「心構え=マインドセット」を前提としながら、「実際に何をするか=行動のマネジメント」をしていきましょう。

 では、まず家族がすべきことは何か?

 それは本人の話をよく聞くこと、そして現実を受け止めることです。無理に慰めたり元気づけようとしたりする必要はありません。病気を抱えた人として特別扱いするよりも、落ち込んでいる本人にそっと寄り添ってあげること。これが大切です。家族がこんな心構えでいてくれると、本人のストレスを軽減できます。

 その次に何をするべきか? まずは本人をサポートしながら病状を理解し、本人の行動や言動を観察して、時には記録しておきましょう。本人ではない第三者の視点による「観察と情報収集」は、治療やケアにとても役に立つ基礎データとなります。

 もっとも、家族にはもっと大きな役割があります。それは、「がんの告知を支え、共有すること」です。日本では、10数年前までは、がんにかかった患者さん本人に対しては「告知しないこと」が当たり前でした。

図1◎ もし、あなたの家族ががんになったら 家族のための6カ条
国立がん研究センターがん対策情報センター 「家族ががんになったとき」(クリックするとページにジャンプします)
[画像のクリックで拡大表示]

 私自身も父や姉をがんで亡くしていますが、どちらのときも別の病名を伝え、だましだまし治療をしました。本人はうすうす知っている。気づいているけどお互いに口には出せない。この状況は、本人にも家族にもつらいものでした。

 それもあって、私は状況が許せば、基本的にはがんにかかっていることを告知する方針に切り替えました。家族が患者さんの気持ちに寄り添えることが、本人にとっても家族にとっても、よいことであると思っています。

 ただ、いまでも変わらないのは、がんの告知は、患者さんと共に家族が聞くことである、という事実です。そこから、治療もケアも復帰もスタートします。

 次は、社員ががんになったときに備えて企業がすべきことについてお話しします。

国立がん研究センターがん対策情報センター編
『わたしも、がんでした。 がんと共に生きるための処方箋』 (日経BP社、2013年9月発行)より転載


堀田 知光(ほった ともみつ)さん
国立がん研究センター理事長
堀田 知光(ほった ともみつ)さん 1969年名古屋大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター院長などを歴任後、2012年より現職。厚生労働省「未承認薬使用問題検討会」座長ほかさまざまな政府委員も務め、ドラッグラグ解消やがん登録推進などの課題にも積極的に取り組んでいる。

『わたしも、がんでした。 がんと共に生きるための処方箋』
(国立がん研究センターがん対策情報センター編、日経BP社)好評販売中

 医学の進歩によって、「がん=迫りくる死」ではなくなっています。実はかなり多くの人が、がんと共に社会で暮らしています。しかし、がんと共に生きることや働くことは、日本社会ではまだまだ普通のことと思われていません。がんと共に生きるとは、働くとは実際にはどういうことなのか。それを知っていただくために、本書ではがんに関わる当事者の方々に語っていただきました。──「はじめに」より

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