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「わたしも、がんでした」

治療の選択で心掛けたのは、本人の個性を尊重すること

家族編 「がんは“生きる”と向き合うプロジェクトです」(4)

 砂田麻美=映画監督

 ただ、そこから先がちょっとややこしくて、他の治療法が病院で全部否定されているかというとそうでもなくて、一般的な医療機関でも「標準治療」以外のオプションの治療を選択できるケースもある、ということを知りました。

 オプションが選べる、となると、こちらもまた迷うわけです。もしかしたら標準治療よりそっちのほうが治る確率が高くなるんじゃないかしら、と。じゃあ、そんなオプションのある医療機関がどこにあって、どんなプラスアルファの治療ができるのか、いったいどれぐらいの金額が掛かるのか、こうしたことも書籍とネットを駆使して調べていったんですね。

「お父さんは迷っているのかもしれない」

 一方で治療方法を模索していた頃の父は、いつになく迷っているように、私には見えま した。

 父は、自分のことは自分で完璧に段取るのが大好きなタイプで、サラリーマン時代の仕事ぶりもそうだった、と同じ会社の方に聞いたことがあります。だいたい、自分ですぐに「エンディングノート」をつくり始めちゃう、というのも、父らしさの表れだと思うんです。

 これまでの父のやり方だと、病院もお医者さまも治療法も自分で全部選ぶぞ、となるはずなんです。けれど、それが、そうならなかった。

 「お父さんは心の奥底で迷っているのかもしれない」

 そう思わされたのは、はじめてのことでした。

 がんにかかったことに対しては、こちらがびっくりするくらい動揺を見せなかった父ですけれど、どの病院に行こう、どの治療を選ぼう、ということについては、いつもの父らしくなかった…。自分で選ぼうとしない、というか、どことなく選べていない…。

 父はそのとき、不思議なぐらい私たち家族の提案に素直に耳を傾けてくれたんですね。それがいっそう、父の混乱を象徴しているようにも見えました。

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