「やさしいがんの学校」の7時間目は「前立腺がん」です。後編では前立腺がんの治療法と、治療後の経過についてまとめます。国立病院機構東京医療センター泌尿器科医長の斉藤史郎先生に、前立腺がんの基礎知識を聞きました。
前立腺がんの治療
前立腺がんの治療は、手術、放射線治療、ホルモン療法が中心となり、とくに治療はせずに経過を観察するPSA監視療法 (未治療経過観察)、ホルモン療法の効果がなくなった時に行う化学療法(抗がん剤治療)があります。
治療法を検討するうえでは、診断時のPSA値、グリソンスコア、ステージによるリスク分類、患者の年齢や期待余命、治療後のQOL(生活の質)などを考慮します(PSA値、グリソンスコア、ステージによるリスク分類の詳細については本記事前編「近年増加する前立腺がん、技術の進歩で早期発見が可能に」をご覧ください)。
基本的には、転移のない限局がんでは手術や放射線治療を中心に完治を目指し、転移がある場合はホルモン療法でがんの進行を抑えていきます。ただ、治療法は多岐にわたり複雑なので、医師と患者がよく相談のうえで選択することになります。それぞれの病期については、下の表1、表2を参考にしてください。
PSA | グリソンスコア | ステージ | |
低リスク | 10ng/mL未満 | 6以下 | T1~T2a |
---|---|---|---|
中間リスク | 10~20ng/mL未満 | 7 | T2b~T2c |
高リスク | 20ng/mL以上 | 8以上 | T3a |
超高リスク | - | - | T3b~T4 |
中間リスク:3つのうちいずれか1つを満たし、高リスクの要素を含まないもの
高リスク:3つのうちいずれか1つでも含むもの
NCCNガイドライン2012年第3版を基に一部改変
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