昭和世代の庶民のヒーローと言えば、寅さんこと車寅次郎。『男はつらいよ』の主題歌にある、「目方で男が売れるなら、こんな苦労もかけまいに♪」というフレーズは、泣けます。
2008年4月に導入された「メタボ健診」では、何とも屈辱的なことに、40~75歳の中高年男女は、有無を言わさず“痛くもない腹”を測られることになりました。男であれ女であれ、その価値は体重やウエストの大小では決められません。が、「内臓脂肪に生活習慣病が重なると、多くの病気が起こる」というメタボリックシンドロームの本質を捉え、適切な対処をしなくてはなりません。
AKB48のメンバーのランクは、年1回の選抜総選挙で決まる。CKD(慢性腎臓病)にもランク(ステージ)があり、それを決めるのは、日頃の生活習慣などでその値が左右されるGFR(*1)だ(表)。
GFR区分(mL/分/1.73m2) | G1 | 正常または高値 | ≧90 |
---|---|---|---|
G2 | 正常または軽度低下 | 60~89 | |
G3a | 軽度~中等度低下 | 45~59 | |
G3b | 中等度~高度低下 | 30~44 | |
G4 | 高度低下 | 15~29 | |
G5 | 末期腎不全(ESKD) | <15 |
AKBなら上位の選抜メンバー、アンダーガールズ、ネクストガールズ…入りは快挙だ。CKDは、G1(正常または高値、GFR≧90)はセーフとしても、G2、G3、G4と悪化し、G5(GFR<15)になってしまうと末期腎不全。人工透析に頼るか腎移植しか、命をつなぐ道はないから事は深刻だ。
今回のテーマはCKD患者の食事。これについては、5つのステージ(病期)ごとに注意すべきポイントが若干違ってくる。
軽めのCKDならメタボとほぼ同じ
G1~G2:メタボ改善のための食事のポイントとほぼ共通
G1~G2の比較的軽めなCKDの場合、食事の管理は、メタボ(高血圧、糖尿病、脂質異常症)に対する注意点とほぼ共通する。
すなわち、カロリーの取り過ぎで肥満(BMI 25未満)にならないようにしながら、血圧(130/80mmHg未満)、血糖(HbA1c 7.0%未満)、脂質(LDLコレステロール120mg/dL未満)を管理する。塩分は、血圧も上昇させ、腎臓にダメージを与えるので、食塩摂取量の基本は、1日あたり3g日以上6g未満だ。CKDは、高尿酸血症を伴うことが多いので、プリン体も適量にしたい(日本腎臓病学会編『CKD診療ガイド2012』による)。