昭和世代の庶民のヒーローと言えば、寅さんこと車寅次郎。『男はつらいよ』の主題歌にある、「目方で男が売れるなら、こんな苦労もかけまいに♪」というフレーズは、泣けます。
2008年4月に導入された「メタボ健診」では、何とも屈辱的なことに、40~75歳の中高年男女は、有無を言わさず“痛くもない腹”を測られることになりました。男であれ女であれ、その価値は体重やウエストの大小では決められません。が、「内臓脂肪に生活習慣病が重なると、多くの病気が起こる」というメタボリックシンドロームの本質を捉え、適切な対処をしなくてはなりません。
メタボリックシンドロームの予防・改善と言えば、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」である。
血圧が高い、血糖値が高い、コレステロール値が高い…そんなとき、今どきは、そこそこ良いクスリがあって、見かけ上は、手っ取り早く正常値を維持することができる。だが、検査の数値は良くなっても、どうしても痩せられず、無力感を覚えている人は多い。世の中には、画期的なダイエット法が山ほどあるはずなのに、なぜ自分は痩せられないのか。実はそれは、心の持ちよう。人間の思考・行動・感情の特性を踏まえて、行動変容にまで持ち込めればいいのだ。では行動変容はどうやって起こせばいいのか。下表にまとめた。
どうしても痩せられない…その敗因の多くは「高望みをしすぎ」
関西医科大学枚方病院健康科学センター長で、生活習慣病認知行動療法研究会会長を務める木村穣氏は、「そもそも本人のやる気がないと何も始まらないが、その気になったとしも、いきなり高望みしすぎることが、敗因になっているケースが多い」と指摘する。
例えば、毎日の夕食で、ご飯を2杯食べている人が、それを1杯に減らせば、かなりの効果が望めることは明らかだ。それゆえ、医師や栄養士もそうした方法をつい勧めがちだし、当の本人も、それがかなり有効な方法だということを理解できる。しかし、いざ実行しようとするとどうだろう。差し迫った生命の危険でドクターストップがかかれば別だが、そうでないと、なかなか実行には移せない人の方が多いのではないだろうか。
理由は単純だ。その人は、ご飯が好きなのだ。「嫌なこと、あるいは自分でできないと思っていることを目標にしても、絶対に達成できない」(木村氏)。
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