腎臓の機能がゆっくり時間をかけて損なわれていく「慢性腎臓病」。その原因や病態、早期発見の重要性などを解説した前編に続き、今回は腎臓病が悪化したときに必要となる、透析治療を取り上げる。腎臓の機能を肩代わりする透析治療はどのように行われるのか、そして腎移植の現状に至るまで、東京逓信病院腎臓内科主任医長の高野秀樹氏に聞いた。
腎臓の機能を肩代わりする血液透析は、週3回の通院が必要
透析とはどんな治療ですか。
高野 透析治療は、腎臓が機能しなくなってしまった人が受ける「腎代替療法」の1つで、腎臓の代わりに血液を浄化し、老廃物を取り除く治療法です。腎代替療法には、透析のほかに腎移植という選択肢もありますが、圧倒的に多く行われているのは透析です。透析には、血液透析と腹膜透析という2つの方法があります。
現在、日本の透析の9割以上を占めるのは血液透析です。血液透析は、血液を体外に取り出しポンプで循環させて、フィルター(ダイアライザー)を通して、毒素と余分な水分を除去する方法です。通常は週3回通院し、1回約4時間かけて治療を受けます。

一方、腹膜透析は、お腹の中にある空間(腹腔)に透析液を入れて、自分の腹膜を介して血液を浄化する方法です。血液透析と違って針を刺す苦痛はなく、長時間じっとしなくていいので、小児などに向いています。ただし、長く腹膜透析を続けると腹膜が疲弊してくるため、ゆくゆくは血液透析や腎移植に切り替えることを視野に入れなければなりません。
血液透析
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腹膜透析
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※いずれの透析治療も年間500万円前後かかるが、高額療養費制度を利用すれば月1~2万円の自己負担で済む(透析を行う慢性腎不全は、特例制度により通常より自己負担限度額が低く設定されている)