ふくらはぎや足の裏が突然つって(けいれんを起こして)激痛が走る「こむら返り」。運動不足の高齢者から激しい運動をする若い人まで、幅広い年齢層が経験する不快な症状だ。人によっては、血管や内臓の病気を背景に発生することもあるという。こむら返りはなぜ起こり、どうすれば予防できるのか、関係のある病気やその治療法などについて、四谷・血管クリニック院長の保坂純郎氏に聞いた。
こむら返りを招く要因は、脱水や筋肉の疲労など
こむら返りはどのような症状で、どんな原因から起こるのですか。
保坂 こむら返りとは、筋肉が強い痛みを伴ってけいれんを起こすことを言います。「こむら」はふくらはぎという意味で、その名の通り、こむら返りが一番起こりやすいのはふくらはぎです。原因は諸説ありますが、一番有力なのは、体液中の「電解質バランスの崩れ」です。電解質とは、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルのことで、このバランスが崩れると、足がつる現象が起こると言われています。
筋肉を動かそうとするとき、脳からの指令を受けた神経が反応し、筋肉に電気信号が送られます。その働きに関与するのが電解質で、電解質バランスが崩れてしまうと、神経から筋肉への伝達が阻害されるのです。
そのほか、筋肉に疲労がたまったときもこむら返りが起きやすいと言われています。

どんな状況でこむら返りが起きやすいのでしょうか。
保坂 季節に関して言えば、こむら返りがよく起きるのは夏です(表1)。発汗量の多い夏は脱水症状を起こしやすく、電解質バランスが崩れがちだからです。利尿作用のあるアルコールを過剰に摂取することも、脱水につながるので要注意です。
脱水状態のとき | 初夏~秋の暑い季節や、激しい運動の後、飲酒後などに多い。体内の電解質バランスが崩れ、神経と筋肉の情報伝達がうまくいかなくなって筋肉がけいれんする |
寝ているとき | 筋肉が疲労している状態で眠りにつくと、急に寝返りを打った拍子にこむら返りを起こしやすい |
病気があるとき | 下肢静脈瘤や肝臓の病気はこむら返りと関係がある。いずれも治療を受けて改善すれば、こむら返りの頻度は減らせる |
就寝中も、足がつりやすい場面です。昼間の活動量が多すぎたとき、1日の疲れがこむら返りとなって夜中に出るのだと思われます。寝ている間は体がリラックスしているので、寝返りのような急な動きが引き金となって足がつるのでしょう。