頭がボーッとして重い、熟睡できないなど、日常生活に支障が出てしまう鼻詰まり。慢性化すれば鼻の中の粘膜がポリープ化して手術が必要となることもあるという。こじらせた鼻詰まりの治療やセルフケアのポイントについて、東京女子医科大学耳鼻咽喉科臨床教授の野中学氏に聞いた。
鼻水や鼻タケなど、さまざまな要素が鼻を詰まらせる
鼻詰まりは、風邪や花粉症でよく見られる症状ですが、ほかにどんな病気で現れるのですか。
野中 鼻詰まりは鼻閉とも呼ばれ、鼻腔や副鼻腔、鼻の奥の突き当たりにある上咽頭の周辺の異常によって起こります。鼻が詰まる原因は多岐にわたり、冬なら風邪、春なら花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)で見られるのが一般的です。年間を通して見られる鼻詰まりは、ハウスダストなどによる通年性のアレルギー性鼻炎や、慢性副鼻腔炎によるものです。そのほか、薬の副作用や、鼻の構造上の理由によっても詰まります(表1)。
感染症 |
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鼻炎 |
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副鼻腔炎 |
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構造上の問題 |
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腫瘍性疾患 |
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私たちの呼吸は、鼻で行うのが本来の姿です(鼻呼吸)。空気が鼻から入ると、鼻毛がホコリをキャッチし、鼻粘膜の免疫防御機能が働いて菌やウイルスが取り除かれ、加湿されたきれいな空気が肺に届きます。口で呼吸するとこのフィルター機能の恩恵を受けられず、汚れた空気が直接肺に入るので、風邪をひきやすい、喉の炎症を起こしやすい、いびきで熟睡できないなどの弊害が出てきます。