食生活の欧米化や運動不足に伴い、日本人の肥満人口は男性の3割近く、女性の2割に達する(*1)。それとともに今、注目されているのが、「脂肪肝」だ。脂肪肝と診断される人は、人間ドック受診者の3割を占めるという(*2)。従来、脂肪肝はお酒の飲みすぎによるものと思われていたが、実際には大量飲酒が原因ではない脂肪肝が多数を占めることが分かってきた。放置すると肝硬変や肝がんに進行する危険性もある脂肪肝の怖さと、最新の検査法について、筑波大学附属病院消化器内科教授(肝臓生活習慣病外来担当)の正田純一氏に聞いた。
脂肪肝の原因は今やお酒よりも肥満
脂肪肝とはどのような病気ですか。お酒を飲まない人でも脂肪肝になるのですか。

正田 脂肪肝は肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。病理学的には肝細胞の5%以上が脂肪に置き換わっている場合、脂肪肝と診断されます。
以前は、脂肪肝は飲酒によるアルコール性脂肪肝が大半を占めると思われてきましたが、最近では、お酒を飲まない人が脂肪肝となり、さらには肝硬変や肝がんになるケースも少なくないということがわかってきました。
脂肪肝からアルコール性の脂肪肝を除いたものを、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD;Non-alcoholic fatty liver disease、ナッフルディー)と呼びます。NAFLDの原因は、メタボリックシンドローム、特に内臓肥満の蓄積です。
アメリカでNAFLDの概念が提唱されたのが1980年、日本に広がってきたのはここ10年ぐらいですが、現在では、脂肪肝全体の半数以上が飲酒をしないNAFLDの患者さんで、推定有病者数は1500~2000万人にも上ります。これはアルコール性脂肪肝を上回ります。
お酒を飲まないから肝臓は大丈夫、というわけではないのですね。NAFLDを放置すると、どうなりますか。
*2 日本人間ドック学会「2014年人間ドックの現況」
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