ここ数年、梅毒が急増している。1990年代は年間500人程度だった感染者は、2017年には6000人近くまで膨れ上がった。若い女性の感染も目立つようになり、これまでとは異なる傾向で感染が広がっている点も要注意だ。「偽装の達人」との異名を持つほど多彩な梅毒の症状や、予防のポイントについて、東京慈恵会医科大学教授の石地尚興氏に聞いた。
梅毒患者の6割は男性だが、20代女性も急増中
梅毒が増加していると聞きます。年齢や性別など、感染した人の傾向はありますか。
石地 梅毒は梅毒トレポネーマという細菌によって起こる感染症です。1990年代は、感染者は年間500人ほどだったのですが、ここ5年ほどは急増傾向にあり、2017年には5829人もの感染が報告されました。このうち、男性は3934人、女性は1895人で、6割以上を男性が占めています。2018年に入ってもその勢いは衰えず、第23週(6/4~6/10)時点で2752人が報告されています(図1)。
近年、男性の占める割合は少しずつ減ってきており、女性の増加が目立っています。女性の中でも特に多いのは、20代です(図2)。
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- なぜ増加? 感染源になっているのは?