日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 名医が解説! 最新治療トレンド  > キスでも感染! 急増する梅毒、どう防ぐ・どう気づく?  > 3ページ目
印刷

名医が解説! 最新治療トレンド

キスでも感染! 急増する梅毒、どう防ぐ・どう気づく?

出たり消えたりする症状を見過ごし、感染拡大を招く恐れも

 田中美香=医療ジャーナリスト

梅毒トレポネーマの感染力はどのくらい強いのでしょうか。

石地 梅毒は、HIVよりは感染力が強いものの、空気感染で広まるはしか(*2)ほど強力ではありません。菌が存在する部位に接触さえしなければ、感染しにくいと考えられています。

 感染者が使ったタオルやコップを介して感染することは、理論上は可能性がゼロではありませんが、ほとんどないといっていいでしょう。お風呂も、感染者と同じ浴槽に入ったくらいでは感染しにくいと思われます。ただ、肛門周辺に症状が出ている人が座った風呂イスにすぐに座って肛門などの粘膜が接触すると、感染する可能性がないとはいえません。イスに座る前に、洗い流すようにすれば感染率は低くなります。

 梅毒が感染しやすいのは、粘膜症状のある第I期と、第II期、つまり早期の段階です。第III期以降は菌が減って感染力が落ちるので、早期のうちに治療することが大切です。

*2 はしか(麻疹)は強力な感染力を持つ。映画館や飛行機などの閉鎖された空間では、感染者と同じ空気を吸っているだけで感染が広がってしまう。

感染力が強い発症早期に治療を開始することが大切

インフルエンザの場合、感染直後に検査を受けても陰性になることがあります。梅毒に関してはいかがですか。

梅毒の検査が陽性になるのは感染の4週間後から。(c)Jarun Ontakrai-123RF

石地 梅毒にも、感染直後は検査で陽性にならない期間があります。梅毒のスタンダードな検査は、採血によって梅毒トレポネーマに対する抗体(*3)を調べる血清診断です。感染後に体内で作られる抗体の量(抗体価)が多ければ梅毒と診断しますが、陽性になるまでに感染から2~3週間かかります。抗体ができないうちは、検査を受けても陰性と判定されるのです。陽性になり始めるのは、早くても感染後4週以降です。

 でも、早期の梅毒は感染力が強いため、陽性になるのを待つ間にも、感染が広がるかもしれません。その対策として、検査が陰性でも、梅毒を疑う症状があれば治療に踏み切ることもあります。

梅毒はどのように治療するのでしょうか。

石地 ペニシリン系の抗菌薬(アモキシシリンほか)を1日3回内服します。治療期間は段階によって異なり、第I期は2~4週間、第II期は4~8週間にわたって薬を飲みます。

 問題は、飲み忘れがあること、そして、症状が治まると薬を中断する人が多いことです。しかし、海外ではこうした問題は起こりません。海外ではベンザチンペニシリンGという持続型ペニシリンの筋肉注射が主流で、1回の注射で治療が完結するからです。

 日本では、1950年代、この注射が原因でアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こし、ショック死した人がいたために使われなくなった経緯があります。しかし、海外では問題なく使われていて、今なお梅毒を内服薬で治療するのは日本だけです。最近になって日本でも梅毒患者が増えてきたので、ようやく筋肉注射の導入に向けて臨床試験を始める動きが出てきました。具体的な時期は未定ですが、数年後には使われるのではないでしょうか。

 梅毒は、いったん治っても、再感染して発病することがあります。梅毒の抗体があるからといって、免疫がつくわけではないのです。再感染しないよう、予防を徹底することが大切です。

*3 抗体とは、体内に入った菌やウイルスに抵抗するために作られる物質。抗体の量が多ければ、感染があった証拠となり、陽性判定となる。

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.