狭心症・心筋梗塞の前編では、血管が狭くなる狭心症と、血管が完全に詰まって心臓の筋肉が壊死してしまう心筋梗塞の特徴について紹介した。では、いざ狭心症・心筋梗塞になってしまったら、どのような治療方法があるのだろうか。カテーテル治療で世界有数の症例数を誇るスーパードクター、千葉西総合病院病院長・心臓病センター長の三角和雄氏に、それぞれの治療の特徴について具体的に聞いた。
治療は「薬」「カテーテル」「バイパス手術」の3つ
まずは薬物治療について教えてください。軽症の狭心症なら、薬で症状を抑えることができるのでしょうか。
三角 狭心症では、土砂崩れによって4車線の道路が3車線に、3車線が2車線になっていくように、心臓の血管(冠動脈)が徐々に狭くなり、心臓の筋肉が酸欠状態に陥る、と前編「突然死につながる狭心症・心筋梗塞、動脈硬化がなくても油断は禁物」でお話ししました。狭心症の主な治療は、薬物治療、カテーテル治療、冠動脈バイパス手術の3つです。4車線が3車線になる程度の軽症で、狭窄の度合いが一定基準を超えなければ、薬によって治療します。もう少し重症になるとカテーテル治療、さらに進行した場合は冠動脈バイパス手術を行います。心筋梗塞には、カテーテル治療または冠動脈バイパス手術のいずれかを行います。
治療薬にはいくつかの種類があり、状況により組み合わせて使います(表1)。いずれも有効な薬ですが、問題は、血管の壁にたまったコレステロールを取り除く薬ではないということです。どの薬も、ある程度の進行を止める対症療法にすぎず、将来的に、血管がさらに狭まったり詰まったりする可能性がないとはいえません。発作のときは硝酸薬(ニトログリセリン)で症状を抑えることができますが、これも応急処置であって、完治するわけではありません。発作を繰り返す場合は、状況に応じて次のステップの治療に進み、血流を改善する必要があります。
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