赤く盛り上がり、かゆみを伴う発疹が出たかと思えば、数時間後には跡形もなく消えてしまうじんましん(蕁麻疹)。症状が出たり治まったりを繰り返す慢性じんましんでは、近年、効果の高い注射薬が使われるようになり、劇的に治療が進歩した。しかし、じんましんはありふれた病気でありながら、原因が特定しにくいなど、分からないことも多い。じんましんの特徴や治療の現状について、横浜市立大学環境免疫病態皮膚科学准教授の猪又直子氏に聞いた。
じんましんの約7割は原因が分からない
じんましんはどのような病気なのでしょうか。
猪又 じんましんは、膨疹(ぼうしん)という、皮膚が膨れ上がる発疹が突然現れる病気です。膨疹には、かゆくなる、赤くなる、腫れる、一過性に消える、という4つの特徴があります(図1)。

じんましんは30~40代の成人によく見られ、理由は不明ですが、女性に多い傾向があります。5人から10人に1人が一生に1度はかかるといわれるほど、頻度の高い病気です。
じんましんは、大きく分けると、症状が出てもすぐに治まる「急性じんましん」と、症状が出たり治まったりする状態が1週間以上続く「慢性じんましん」の2つがあります。いずれも明らかな原因があって症状が出ると思われがちですが、原因が分かるのは3割程度にすぎません(刺激誘発型じんましん)。残る約7割は、原因がつかめない「特発性じんましん」と呼ばれています。
