急性膵炎の多くは軽症~中等度で済み、重症化するのは数%にすぎません。しかし、治療が進歩したといっても、重症化すれば10人に1人は亡くなるのが現状です。
重症化すると、循環障害をはじめ、全身が重篤な状態に陥る多臓器障害を起こします。その場合、長ければ3~4カ月の入院が必要です。症状が急激に現われる急性期は集中治療室(ICU)で治療しますが、問題となるのは1カ月ほど経った頃です。膵臓やその周辺の組織が破壊される壊死性膵炎を起こすと、壊死した部分から膵液が漏れ出して周辺の脂肪を溶かし、その液体がカプセル化します(被包化膵壊死、Walled-off necrosis;WON)。このカプセル内に詰まった膿が引き金となって感染を起こすと、命を落としかねません。