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名医が解説! 最新治療トレンド

破裂すればくも膜下出血! 脳動脈瘤はどう治療する?

開頭しないカテーテルによる治療も大きく進化

 田中美香=医療ジャーナリスト

 血管内治療でステントを使用する場合の一番のデメリットは、術後に血液が固まりにくくなる薬(抗血小板薬)を飲み続ける必要があることです。ステントを使うと血管内の異物が血栓になりやすく、脳梗塞の発症リスクがつきまとうからです。でも一方で、薬を使えば、別の場所で出血したときや大腸検査などの検査時に血が止まらず大出血になる可能性があるため、どうしても抗血小板薬を止める必要が出てくる場合があります。現時点では何年で薬をやめていいという決まりがないので、ずっと薬を使わなければなりません。そのため、負担が少ないからといって血管内治療が一番ともいえないのです。

 血管内治療は、10%少々で脳動脈瘤が再発するのもデメリットの1つです。しかし、高齢者など、開頭手術による負担を避けたい場合には血管内治療を選びます。反対に、30~40歳の若い人なら、根治性を優先して開頭手術を選びます。ただし、一番に考慮すべきは、再発するかどうかより、治療の安全性です。脳動脈瘤の大きさや形、術者の技術などを視野に入れてトータルに考えていきます。

今後、さらに新しい治療方法が出てくる見込みはありますか。

水谷 新しい治療が登場するとすれば血管内治療でしょう。海外では、今以上に小さなフローダイバーターを使って、末梢にある脳動脈瘤も治療できるようになりました。数年もすれば日本でも使われるようになるでしょう。

 さらに、ウェブというネット状の金属を脳動脈瘤に詰める方法も出てくると思われます。1本のコイルを巻いて詰めるコイル術と違い、ウェブは最初から提灯のような形をしたネットをカテーテル経由で入れます。日本ではまだ認可されていませんが、臨床試験が進みつつある頃かと思います。

脳動脈瘤が破裂すれば、3分の1は帰らぬ人となる

治療するべき脳動脈瘤が見つかったとき、医療機関を選ぶポイントを教えてください。

水谷 まず参考になるのが脳動脈瘤の症例数(その医療機関で治療を受けた患者の数)です。症例数が多い医療機関ではおのずと医師の技量が上がるので、参考になります。加えて、治療成績まで公表しているかどうか、そして血管内治療と開頭手術の両方をバランスよく実施しているかどうかも大切です。近隣の医療機関のウェブサイトを調べてみるといいでしょう。

脳動脈瘤を経過観察することになった場合、生活上の注意点はありますか。

水谷 タバコは脳動脈瘤の発生にも破裂にも関わる要素なので、禁煙は欠かせません。また、血圧の管理も大切です。高血圧になると血管に圧力がかかって脳動脈瘤が大きくなるため、血圧は正常範囲内に抑える必要があります。

 脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血は、一度起こすと救命が大変厳しい病気です。亡くなるか、社会復帰できるか、障害が残るか、確率は各3分の1です。脳動脈瘤が見つかるかどうか、治療するかどうかにかかわらず、生活習慣には注意してほしいと思います。

水谷 徹(みずたに とおる)さん
昭和大学医学部脳神経外科学講座主任教授、昭和大学病院脳神経外科診療科長
水谷 徹(みずたに とおる)さん 1984年東京大学医学部卒業後、同大学病院脳神経外科、東京都立多摩総合医療センター部長を経て、2012年より現職。専門は、脳動脈瘤、頸部頸動脈狭窄、バイパス術をはじめとする脳血管障害の手術治療、良性脳腫瘍の手術。同院の治療成績を牽引してきた脳外科手術のスペシャリストであり、他の医療機関で手術が困難とされた患者も全国から訪れている。
編集協力:ソーシャライズ
病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。

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