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名医が解説! 最新治療トレンド

破裂すればくも膜下出血! 脳動脈瘤はどう治療する?

開頭しないカテーテルによる治療も大きく進化

 田中美香=医療ジャーナリスト

 開頭手術では、脳動脈瘤の根元をチタン製のクリップではさみ、コブの中に血流が入らないようにします(表1)。開頭するぶん患者さんの体の負担は大きいのですが、根治性が高いのがメリットです。クリップの形はさまざまで、大きさも1cm未満から5cmまで何十種類もあります。

 ただし、術者から見えにくい場所にある脳動脈瘤はもちろん、血管が癒着している場合も手術が困難となり、癒着を剥がすときに破裂するリスクがあります。それに脳動脈瘤の形は千差万別で、どこをどうクリップで止めるかは職人の技。執刀医には高いスキルが求められます。

表1 開頭手術(クリッピング術)のメリット・デメリット
方法
  • 開頭し、脳動脈瘤の根元をクリップで止めて血液の流入を防ぐ
  • 脳動脈瘤から分岐する動脈が出ている場合はバイパス術を行うこともある(クリップで動脈を閉塞させつつ、新たな血管でつなぐ)
  • 手術は5~6時間、入院期間は10~12日
メリット
  • 再発率が低く、根治が期待できる
  • 動脈瘤の形にかかわらず、根っこの広いタイプ(ブロードネック)にも対応できる
  • 手術中に万一破裂しても、その場で対処できる
デメリット
  • 患者の負担が大きく、頭皮に傷痕が残る
  • 術者の技術に左右されやすい

開頭しない「血管内治療」はどのような方法なのですか。

水谷 血管内治療は、太腿の付け根(鼠径部)から動脈の中にカテーテルを入れて脳に到達させ、血管の中から治療する方法です(表2)。開頭しないので、患者さんの負担が少ないのが利点です。血管内治療の1つ、コイル塞栓術では、カテーテルを通じて脳動脈瘤の中に1本のコイルを送り込み、巻きながらコブの中に詰めていきます。コイルを詰めると、その周りに血の塊(血栓)ができて内腔が埋まり、破裂を防ぐことができます。

表2 血管内治療のメリット・デメリット
方法
  • 足の付け根(鼠径部)からカテーテルを入れ、脳まで到達させて治療する
  • 手術は約2時間、入院期間は4~5日
<コイル塞栓術>
動脈瘤の中にコイルをクルクル巻いて詰める(同時に動脈にステントを留置するのが一般的)
<フローダイバーター留置術>
目の細かいステントを動脈に留置し、動脈瘤に血流が入るのを防ぐ。根っこが広い形の動脈瘤にも使いやすい

原図(c)Roberto Biasini-123RF
メリット
  • 開頭しなくてもいいので患者の負担が少ない
  • 動脈瘤が左右にある場合でも治療できる
デメリット
  • 開頭手術に比べると再発率が高い
  • ステント留置によって血栓ができやすいため、治療後は抗血小板薬を飲み続ける必要がある

 コイルを詰めた後は、動脈の中にコイルが落ちてくるのを防ぐためにステントという筒型の金属を留置する場合もあります。しかし、それでも大型の動脈瘤は、再びコブの中に血流が入って再発してしまうことが多いという問題がありました。そこで2015年、フローダイバーターという目の細かいステントが認可され、現状のステントに比べてコブの中に血液が流入するのをより防げるようになりました。ただし、フローダイバーターは使える部位が限られ(*4)、特定の施設や術者しか認可されていないのであまり広まっていません。

*4 フローダイバーターは内頸動脈にできた大きな脳動脈瘤に限定されている。

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