ヒートショックを起こしやすいのは、血管が弱くなっている高齢者だけと思いがちだが、40代以降のビジネスパーソンも決して他人事ではない。冬は血圧が上がりやすいことに加え、普段から高血圧になっていることに気づいていないケースもあるためだ。高血圧は日本人約4300万人(*2)が抱える国民病。働き盛りの40代、50代も大きなリスクを抱えている。まずはヒートショックを防ぐための工夫を知っておこう。(下表)。
脱衣所や浴室内を温めておく | 脱衣所に小型ヒーターを設置し、浴室内は湯船の蓋を先に開けておいたり、シャワーの湯気で温めたりすると、寒暖差を最小限に抑えることができる |
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湯温は41℃以下にとどめる | 寒い季節こそ、熱い風呂にドボンと入りたいと思うもの。これをぐっとこらえて、かけ湯をしながら入ろう。冷水浴やサウナは温度差が激しく危険なので避けること |
食事の直後や飲酒後の入浴は控える | 食事やアルコールを飲んだ直後は血圧が下がりやすいので、温度差の大きい場所に身を置かないよう気をつけよう |
ヒーターはトイレにも設置する | トイレは室温が低い上、お風呂同様、肌を露出する場所でもある。便座カバー・暖房便座を活用するか、脱衣所同様、トイレにも小型ヒーターを設置する |
起床時、寒い状態のまま活動しない | 起床してすぐ動かず、部屋が温まってから着替える。洗顔は冷水でなくお湯かぬるま湯がよい |
後編「高血圧は40代以降を襲うサイレントキラー」では、働き盛りのビジネスパーソンを密かに襲う、“隠れ高血圧”などの話題をお届けする。
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014v1_1.pdf
(取材:稲垣麻里子、まとめ:田中美香)
横浜市立大学附属病院腎臓・高血圧内科 診療科部長・主任教授

著書に、『高血圧にならない、負けない生き方(日本屈指の名医が教える「健康に生きる」シリーズ)』(2015年、サンマーク出版)ほか多数。
病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。
