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季節の病気を上手に防ぐ

ノロウイルス、どうすればうつらない? うつさない?

正しい知識で冬の嘔吐・下痢を回避しよう

 田中美香=医療ジャーナリスト

近年問題になっているのは「カキ以外の食品を介する感染」

 ノロウイルスのもう一つの感染ルートが、食品を介した感染だ。下水と共に海へと排出されたノロウイルスは、カキなどの二枚貝に蓄積され、それらの貝を生で、あるいは不十分な加熱調理で食べることによって、ノロウイルスに感染することがある。

注意すべきなのは牡蠣だけではない(©Brent HOfacker  -123rf)
注意すべきなのは牡蠣だけではない(©Brent HOfacker -123rf)

 最近増えているのは、二枚貝以外の食品(ノロウイルスを蓄積する性質を持たない食品)による感染だ。飲食店、仕出し弁当や学校給食などでは二枚貝とは無関係の食品が原因となる食中毒が多発している。多くは、調理あるいは配膳過程で食品取扱者から直接、あるいは汚染食品によって2次的に別の食品が汚染された結果と考えられている。1件当たり500人を超える食中毒もまれではない。

 食べる側としては、このような感染経路は防ぎようがないから困りものだが、自分で調理する場合は、手指や調理器具を清潔に保つことがいかに重要かを示す事例といえる。

かかってしまったら第一に水分補給、そして栄養補給も忘れずに

 ノロウイルスに感染すると、下痢や嘔吐で体の水分が急速に失われていく。そこで起こるのが脱水症状だ。水のような下痢が続いたら、まずは水分補給が欠かせない。目安としては1日2リットル程度、イオン飲料などの水分摂取を心がけるとよい。

 もう一つ注意したいのは、「どうせ食べても吐くから、落ち着くまで絶食しよう」と自己判断しないこと。水のような下痢が続くと多量の水分が体外に出るが、これは単なる水ではなく、本来吸収するはずだった栄養分も含まれている。そのため、水だけ飲むのでは栄養が不足し、回復が遅れてしまう。消化の悪い繊維質のものは避けつつ、消化が良く、食べやすいもの(おかゆ、うどんなど)で体力をつけよう。

回復を遅らせる下痢止めは飲まないで

 ノロウイルス感染症は、基本的には自然治癒する病気だ。また、現在のところ、ノロウイルスに直接効く薬は開発されていない。そのため、病院に行っても点滴で脱水症状を補うなど、つらい症状を和らげる治療が中心になる。こうなると、「受診はせずに薬局の下痢止めで急場をしのごう」などと考えがちだが、相楽氏はこの発想に待ったをかける。

 「感染性の胃腸炎に対して、腸の動きをおさえて下痢を止めるタイプの薬はお勧めしません。ウイルスが排出されず体内にたまる上、腸が麻痺して詰まったような状態になり、腸閉塞を起こすこともあるからです(麻痺性腸閉塞)。中には、腸が破れて炎症を起こす人も、毎年見られます(腸穿孔)」(相楽氏)。

 下痢に対して不適切な判断をすると、このような大変な事態を招きかねない。安易に薬を飲むより、症状がひどいなら早期に受診しよう。

アルコール消毒はあまり効かない! だから予防の基本は「石けんでの手洗い」

石けんで手洗いをしっかりと(©sailanalt -123rf)
石けんで手洗いをしっかりと(©sailanalt -123rf)

 では、ノロウイルスの感染を防ぐ上では、何に気を付ければよいのか。「何よりも石けんでの手洗い励行が大切です」と相楽氏は話す。石けん自体に殺菌作用がある訳ではないが、ウイルスを機械的に流す上で欠かせないのだという。トイレの後、食事の前、調理の前など、要所でしっかり手を洗うことを習慣化したい。指の間や手首まで入念に洗うことを心がけよう。まな板や包丁などの調理器具を扱う際も、やはりアルコールではなく、塩素系漂白剤や熱湯で消毒とするとよい。

 なお、最近、人の出入りが多い場所では「感染予防にご協力ください」と書かれたアルコール系の消毒液を見かけるようになった。しかし、残念ながらノロウイルスにはアルコールがあまり効かない。同様に、トイレに設置されている便座クリーナーもアルコール系なので、やはりそれほど効果がない。

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