正しいハンドクリーム選び ~成分の濃度が高ければ良いわけではない
手荒れへのセルフケアといえば、まず思い浮かぶのが、ハンドクリームだ。皮膚にうるおいを与える成分は、「皮脂膜」「天然保湿因子」「細胞間脂質」の3つに大別される(図1)。
ハンドクリームには、これらを補う成分が配合されているが、尿素、セラミド、ワセリンなど、種類が多すぎて選びかねてしまう人も多いだろう(表1)。
尿素系 | 角質の水分を守るとともに、乾燥した肌をしっとりと保つ効果がある。亀裂が入る前の軽症の段階で効く。 |
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セラミド系 | 角質層の細胞の間に存在する「細胞間脂質」の一つ。水分を保ち、外部からの刺激から皮膚を守る。保湿効果も高い。 |
ヘパリン類似物質 | 水分を保持する働きがある。塗った時にしみにくく、高い保湿能力を持つ。皮膚科では「ヒルドイド」がよく処方される。 |
油脂系 | 油分で肌に膜を作り、水分の蒸発を抑える。白色ワセリンなどが販売されている。 |
ビタミン系 | ビタミンA、Eなどが含まれ、血行促進効果がある。 |
「手荒れの症状が軽い場合は、基本的にはどのタイプのハンドクリームを選んでも大丈夫です」と太田氏はアドバイスする。例えば、天然保湿因子に含まれる尿素入りのハンドクリームは、皮膚にしっとり感を与える。多くの商品には「尿素〇%配合」といった表示がしてあり、基本的には、含有量が多いほど効果も高い。
ただし、手荒れがひどくなり、亀裂が入っているような場合は、注意が必要だ。「亀裂が入るほど荒れてしまったら、濃度の高い尿素は傷口にしみて痛みを感じてしまいます。そうした状態の患者さんに、病院では尿素軟膏を出すことはありません」(太田氏)。
ひどく悪化した手荒れに対して、病院で一般的に処方されるのはステロイド剤の軟膏だ。亀裂が入った状態になると、ステロイド剤を含む薄いテープを巻いて、治るのを待つことになる。顔と違って、手の皮膚には厚みがあるので、短期間であれば、比較的効き目が強いタイプのステロイド剤を使っても問題ないという。
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