空気が乾燥する秋冬は、手荒れの悩みが増えやすい。手荒れといえば、女性特有の悩みというイメージが強い。家事で手が乾く暇がなく、皮膚の保湿成分が失われて起こる「主婦湿疹(手湿疹)」が有名だ。だが、「男性でも手荒れに悩む人が増えてきた」と話すのは、おおた皮膚科(埼玉県所沢市)院長の太田みどり氏。女性と比べてスキンケアの知識が乏しく、手入れがおろそかになりがちな男性に向けて、手荒れを悪化させないための方法をうかがった。
男性に増えつつある手荒れ。その理由は?

「秋冬になると、女性とまったく同じ手荒れの症状で皮膚科に足を運ぶ男性が目立つようになりました。美容師などの職業の方では、以前から手荒れで来院する男性はいましたが、最近多くなったのは、仕事で特に手を酷使することのない、デスクワークの男性。年齢としては、比較的若い、子育て世代です」。
太田氏は、この傾向について、結婚・出産後も仕事を続ける女性が増え、それに伴って家事や育児を積極的に担う男性が増えたからではないかと推測する。
最近は、妻が専業主婦であっても、皿洗い程度は手伝う男性も多いし、共働き世帯では料理や洗濯までこなす男性もいる。赤ちゃんがいる家庭であれば、当然の役目としてオムツを替える男性も少なくない。
太田氏によると、イクメン世代同様、手荒れが増えつつあるのは「団塊の世代」だという。料理ができる男性がカッコイイと言われるようになり、リタイア後の趣味として料理を楽しむ人が急増した。すると、やはり水仕事で手荒れが起こるというわけだ。
男性の手荒れが女性と違うのは、「ケアする習慣」が少ないこと
男性の場合、女性に比べると、手肌をこまめにケアする生活習慣はまだ少ないのが現状だ。このことも男性の手荒れを増やす一因となっている、と太田氏は指摘する。
「洋服を着ている体と違って、手は無防備です。秋冬に冷たい空気に触れると手は荒れやすいのですが、男性は、女性ほどこまめに手袋をつけません。スキンケアの知識も少ないため、お手入れもおろそかになりがちです」(太田氏)。クリームを塗った方がいいと周りから勧められても、面倒でなかなか続かない…こんな状況が思い当たる人も多いだろう。
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