日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 季節の病気を上手に防ぐ  > たかが咳、されど咳 ~秋口の長引く症状にどう対処?~  > 3ページ目
印刷

季節の病気を上手に防ぐ

たかが咳、されど咳 ~秋口の長引く症状にどう対処?~

 田中美香=医療ライター・ジャーナリスト

市販の咳止め薬の使用は1週間にとどめて

 「咳は出るが病院に行くほどではない」と思ったら、とりあえず市販薬で咳を鎮めようと思う人も多いだろう。1週間くらいであれば、市販薬で様子を見てもいいと蝶名林氏は話す。「ただし、中にはがんや結核などの重い病気が隠れている可能性もあります。1週間、市販薬を飲んでも咳が止まらない、加えて熱や全身のだるさ、息切れ、痰などがある場合は、自然に治る咳ではないと判断して受診してほしいですね」。

 また、蝶名林氏は、「咳を鎮めること=治療」とは言い切れないと指摘する。咳は生体反応の一つであって、本来は抑えすぎてはならない。「例えば、熱が高いとウイルスが死ぬので、身体はあえて熱を出してウイルスを殺しています。咳も同様で、気管支に入った異物を出すための反射として起こります。それを薬で抑え込むことは、本来は良いことではありません。夜も眠れないほど咳がひどい時は、強い薬(リン酸コデインなど)を数日使って症状を軽くすることはありますが、基本的には、咳の原因をはっきりさせて、治療をする必要があるのです」。

第一の医師は自分自身 ~咳に有効なセルフケア

 咳に対するセルフケアは、喫煙者であれば第一に禁煙、その他にマスク着用、睡眠・栄養をとる、飲酒・刺激物を控える、などが挙げられる(表2)。

表2◎ 咳へのセルフケア
セルフケア項目ポイント
喫煙している人は禁煙する禁煙は必須。長引く風邪=禁煙の絶好の機会ととらえてトライしてほしい。
マスクをする飛沫はマスクでかなり抑えることができる。マスクをすると冷気が直接入ってこない上、吐いた空気を再呼吸するので気道を温める作用もあり、咳自体を減らす上でも有効。
規則的な睡眠規則的な睡眠は健康の基本。疲れをとる意味でも睡眠時間は確保したい。
飲酒を控えるアルコールの蒸気により気道が過敏性を持ってしまうので、特に咳喘息では飲酒は控えよう。
刺激の強い食べ物を控える辛いもの・熱いもの・冷たいものは咽頭を刺激する。咳があるなら避けた方が無難だ。
加湿する乾燥する季節の咳には加湿が欠かせない。加湿器を活用して適度な湿度維持に努めよう。

 気候の変化の激しい秋や春は、室内の湿度にも注意したい。インフルエンザをはじめ、ウイルスは乾いた場所でよく増殖する。「人間の体は、気管支に生えている小さな毛(線毛)が動いて粘膜のエスカレーターを作り、異物を排除します。この機能は湿度によって調整され、湿度が高ければうまく働いて異物を出してくれるのですが、湿度が低いとうまく働かなくなります」(蝶名林氏)。室内の湿度は40~60%を目安に調節するといいだろう。その際、加湿器の中をきちんと清掃していないと、水の入ったタンクの中でカビが繁殖して空気中にまき散らされることがある。カビを吸ってかえって症状が悪化しないよう、きちんとメンテナンスして使いたい。

 咳に悩む人は、こうしたセルフケアに気を配りつつ、がん・肺炎・結核といった重い病気を早期発見するためにも、あまり我慢しすぎず医療機関の受診を検討しよう。

蝶名林直彦(ちょうなばやし なおひこ)さん
聖路加国際病院 内科統括部長・呼吸器センター長・呼吸器内科部長
蝶名林直彦(ちょうなばやし なおひこ)さん 1976年神戸大学医学部卒業、虎ノ門病院内科病棟医を経て、呼吸器内科医長、東京女子医科大学第一内科にて学位取得、1990年聖路加国際病院内科医長、2013年同内科統括部長(呼吸器内科部長兼務)2014年呼吸器センター長併任、現在に至る。
日本呼吸ケア・リハ学会理事、保険委員会委員長、日本呼吸器学会保険委員会副委員長、内科保険連合副代表、日本呼吸器学会指導医、同代議員、日本内科学会内科専門医、認定医、日本呼吸療法医学会専門医、評議員、東北大学非常勤講師。専門は臨床呼吸器病学、呼吸不全の病態・治療。
編集協力:ソーシャライズ
病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。

先頭へ

前へ

3/3 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.