今年の夏も、各地で記録ずくめの猛暑となった。ところが、9月に入って少し過ごしやすくなったはずなのに、なんだか体調がすぐれない…このような、夏バテならぬ「秋バテ」を訴える人が昨今少なくないという。放置すると長引くおそれもある「秋バテ」について、目黒西口クリニック院長の南雲久美子氏に聞いた。
夏から秋にかけての、3つの「バテ」とは

猛暑に見舞われたこの夏、体力低下や食欲不振など、夏バテ症状に悩んだ人も多いだろう。ところが、涼しくなってもなかなか体調が戻らない、それどころか、夏よりもひどくなっている―この時期、そんな体調不良を訴える人が増え始めるという。
診断名のつかない不定愁訴(検査などでは異常が見つからない、様々な体調不良)に詳しい目黒西口クリニック院長の南雲久美子氏によると、夏から秋にかけて起きるバテは、大きく3つに分けられるという(下図)。
第一は、夏の早い時期に起こる夏バテだ。暑くなり始める5~6月あたりから、食欲が落ちたり、動くのが億劫になったりするもので、特に虚弱体質の人に起こる。
夏真っ盛りに起こる第二の夏バテは、俗にいう冷房病を指す。炎天下の屋外と、冷房で冷えきった屋内という極端な温度差のある場所を行き来するうちに、自律神経が不調を来たし、体の調節機能がおかしくなってくる。暑さをしのごうとして冷たいものを飲食するうちに、胃腸も弱ってしまう。
そして、残暑が落ち着く9月後半~11月に出るのが第三のバテ、秋バテだ。これは「夏バテ後遺症」とも言えるもので、「3つのバテの中で最もタチが悪い」と南雲氏は言う。体力に自信がある人が夏に夜遊び、暴飲暴食、アクティブなレジャーなどで体に負担をかけ、薄着のままで1日過ごして胃腸の疲れや冷えを招き、無理が蓄積されて秋に症状が出る。体が丈夫なだけに、夏を乗り越えてしまい、溜まりに溜まった疲れが秋に出てくるというわけだ。
秋バテには、気圧の変化も影響しているという。秋に台風や低気圧が近づくと、空気中の酸素濃度は薄くなる。夏の疲れを引きずっている上に、気圧差が大きいと体がだるくなり、自律神経のバランスが崩れてしまう。無理をした期間が長いだけに、夏バテよりさらに厄介な状態になる。
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