日焼けとは別に日光に関連する病気もある
~多形日光疹と日光蕁麻疹~
日に当たれば誰でも日焼けをするが、ただの日焼けではないこともある。日光で皮膚障害を起こす光線過敏症だ(表2)。光線過敏症は、通常の日常生活で浴びる程度の光線に過敏に反応し、異常な皮膚症状が出現する病気の総称。様々な種類があるが、一番多いのが多形日光疹だ。多形日光疹は、日に当たっている最中は何ともないのに、夕方から腕の外側が赤くなり、ブツブツした湿疹が出現する。紫外線に当たることで肌の中にアレルゲンができ、それにアレルギー反応を起こしている状態で、消えるまでに、数日以上かかるという。
多形日光疹と紛らわしいのが、日光蕁麻疹だ。日に当たって肌がボテっと腫れ(膨疹)、かゆみが出るが、1時間も日陰に入っていれば跡形なく消えていく。日光蕁麻疹も、日光(主に可視光線)に当たった皮膚でアレルゲンが産生され、それが元で生じるアレルギー反応と考えられている。多形日光疹と異なる点は、日に当たっている最中からかゆくなることと、その日のうちに腫れがひくことだ。
日焼け止めが効くかどうかも、この2つが異なる点だ。多形日光疹は紫外線が原因なので、日焼け止めが有効だ。しかし、日焼け止めは紫外線しかカットしないので、主に可視光線が原因の日光蕁麻疹にはあまり効果がない。衣類でカバーするか、あるいは日光に少しずつ慣れることも効果的だという。
「皮膚を日光に慣れさせて強くすることをハードニング(hardening)といいますが、防御するだけでなく、慣らすことも大切です。その証拠に、夏の初めは日光による皮膚症状が出やすいのに、真夏には出にくくなるものです。多少の日焼けは、それほど悪いことではないのです」(上出氏)。
(取材:稲垣麻里子/文:田中美香)
ひふのクリニック人形町 院長

著書に『知って防ごう有害紫外線』(共著、少年写真新聞社)、『紫外線環境保健マニュアル2008』(共著、環境省)、『からだと光の事典』(監修・分担執筆、朝倉書店)ほか多数。
病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。