意識の有無と自力で水を飲めるかどうかで受診を判断
もし身近な人が熱中症になったら、どうすればいいのだろう。「まずは声をかけて、意識があるかどうかを見極めるのが第一です。意識がなければ重症の可能性が高く、脳卒中など他の病気も考えられるため、すぐに救急車を呼んでください」(三宅氏)。
応急処置にあたっては、涼しい場所に移して服をゆるめ、冷たいペットボトルを体に当てるなどして、体を冷やし、水分を補給させる。「もし、自力で水分をとれるようであれば、引き続き応急処置を続けながら様子を見てください。そのまま回復すれば、受診の必要のない軽度(Ⅰ度)の熱中症です。もし回復しなければ、医療機関を受診してください」(三宅氏)。
救急外来を受診するにあたっての注意は?
水分を自力で飲めない人のほか、吐き気がある人も、病院で点滴を受ける必要がある。三宅氏によると、救急外来にかかる際のポイントは、めざす病院がそのときに対応可能かどうか、必ず電話で聞くことだという。「救急外来に担ぎ込めばすぐ診てもらえる、というわけではありません。日によって対応可能な診療科が限られていたり、急患が立て込んでいる可能性もあります。救急外来では、来院順ではなく重症度順に患者さんを診るルールが確立しているため、重度の患者さんが多いときは、数時間待たなくてはいけないこともあります」。
受診する前に、病院に直接電話するか、インターネットで調べるか、都内なら東京消防庁の救急相談センター(#7179)に問い合わせるなどして、まずは相談を。早めの処置で、重症化を未然に防ごう。
日本救急医学会『熱中症ガイドライン』 http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf
環境省『熱中症環境保健マニュアル』 http://www.jaam.jp/html/info/2015/info-20150413.htm
昭和大学医学部救急医学教授、昭和大学病院救命救急センター長

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