日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 季節の病気を上手に防ぐ  > 梅雨時の咳や痰、原因は「ホコリに潜むカビ」かも  > 2ページ目
印刷

季節の病気を上手に防ぐ

梅雨時の咳や痰、原因は「ホコリに潜むカビ」かも

喘息の人は特に注意、アレルギー性肺アスペルギルス症の怖さ

 田中美香=医療ジャーナリスト

湿度が高くなると室内のホコリも湿気を含み、カビが繁殖しやすくなる。(©Akhararat Wathanasing-123rf)
湿度が高くなると室内のホコリも湿気を含み、カビが繁殖しやすくなる。(©Akhararat Wathanasing-123rf)

 アスペルギルスには250~300もの種類があり、中にはまったく無害のものも存在する。たとえば、アスペルギルス・オリゼーは、日本人には馴染みの深いコウジカビだ。オリゼーは塩麹や醤油、味噌などの旨み成分を出してくれるありがたいカビだが、フミガタスは違う。

 フミガタスを吸い込むと、アレルギー反応を起こし、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあるのだ。これが、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(以下、アスペルギルス症)で 、治療が遅れると、肺の組織が破壊され、呼吸不全を招きかねない、怖い病気だ。国内に20万人もの患者がいると推測される。

アスペルギルス症は、7~8年も診断がつかないことがよくある

 アスペルギルス症が怖いのは、専門医でも見逃す「ドクターズ・ディレイ(doctor's delay)」が多い点だ。ドクターズ・ディレイとは、適切な診断・治療が遅れることを指すが、この病気の場合、症状が出てから診断がつくまで7~8年かかることもあるという。アスペルギルス症は咳や痰などのありふれた症状が多く、風邪や気管支炎、通常の喘息と紛らわしいからだ。また、ここ数年、「長引く咳=咳喘息の可能性が高い」という認識が医師の間に広がってきたこともあって、咳喘息の診断を受け、治療していたのに、実は咳喘息ではなくアスペルギルス症だった…というケースも後を絶たない。

 発症しても必ずしも重い呼吸器の症状が出るとは限らない点も、アスペルギルス症の特徴だ。症状のピークがはっきりしないまま息切れや咳・痰がジワジワと出て、むしろ軽い症状のまま過ごす人も多い。極端な例では、健康診断の胸部X線検査で異常な影が発見されて判明したという人も。だが、中には、本人も気づかないうちに、肺の組織変化(線維化)が進んでしまうケースもある。肺の組織はいったん破壊されると元には戻らず、徐々に呼吸が困難となり、最終的には酸素吸入をしなければ生活できなくなってしまう。

フミガタスは免疫が低下している人に感染症も引き起こす

 では、カビの多い環境に住んでいると、誰もがアスペルギルス症になってしまうのだろうか。実はそうではない。カビに対するアレルギー反応を起こすかどうかには体質が大きく影響する。一番注意が必要なのは喘息を持っている人だ。「実は、アスペルギルス症患者の9割以上は喘息を持っていることがわかっています。アスペルギルス症の発症と喘息の重症度には関連はなく、軽い喘息の方でも発症することは少なくありません」と谷口氏。もちろん、喘息がなければ大丈夫、というわけでもない。

 また、まれだが、重度の免疫不全や、抗がん剤の治療を受けて白血球が減っている状態など、極端に免疫が低下している場合は、フミガタス自体が肺の奥まで侵入し、強力な感染症を引き起こすこともある。

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 健康長寿の生命線! 放置は禁物 「腎臓」の異常値NEW

    生命維持に欠かせないさまざまな機能を担っている腎臓は、よほど悪くならない限り悲鳴を上げない「沈黙の臓器」でもある。本記事では、大切な腎機能が失われる前に、異常値にどう対処すればいいか、腎臓を守るためにはどのような生活習慣に気を付けていけばいいかについて解説する。

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.