「根が真面目なうつ病患者さんは、会社を休むと同僚に迷惑をかけるのでは、と罪悪感が募りやすいものです。しかし、きちんと休んでうつ病を治してから能力を発揮するほうが、その人の人生にとって明らかに有益であるだけでなく、プレゼンティズムの観点からいえば、組織全体にとっても利益につながるはずです」(吉田氏)。休むことに罪悪感がない新型うつは別として、信頼できる医師からメンタル不調を理由に休職を勧められたなら、思い切って休養することも大切だろう。
うつ病の治療は四本柱<薬物療法・環境調整・休息・精神療法>
うつ病の治療は、大きく分けると下図のように4つの柱がある。それぞれの要素を念頭にバランスの良い治療が望まれるところだが、日本では診療報酬の設計上、薬物療法に偏りがちとされる。
それはさておき、数多い治療薬(下表)からどう選ぶのか、吉田氏に尋ねた。「不安が強いタイプのうつ病なら、不安を軽減する作用が強いSSRIを第一選択薬とするケースが多く、何をするにも億劫な状態ならば、意欲改善効果が高いとされるSNRIを検討します。基本的には、副作用が少ない比較的新しい薬を単剤で処方します」。
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- 回復後もすぐには薬をやめないで