春といえば、お花見に歓送迎会。そして宴会といえば、欠かせないのがお酒。春は、何かとお酒を飲む口実に事欠かない季節だ。だが、ほろ酔い気分でこそ楽しいのであって、救急車を呼ぶほどの事態となれば話は別だ。自分はもちろん、同席者が急性アルコール中毒にならないための心得について、川崎市立多摩病院救急災害医療センター 副センター長の田中拓氏に聞いた。
急性アルコール中毒の救急搬送者は、20代が圧倒的
急性アルコール中毒で救急搬送される人は、 東京都だけでも年間1万4000人を超える(2014 年、東京消防庁調べ)。その中でも、下図の通り、顕著に目立つのは20歳代だ。お酒と上手につきあえる30歳以降は激減するが、再び60歳代で増えているから、中高年であっても油断できない。
20歳代に急性アルコール中毒が多いことについて、田中氏は「自分の酒量の限界を分かっていないことが原因」と話す。「よく言われることですが、自分がどれくらい飲めるのかを知らない人が、場の雰囲気にのまれて過剰に飲んで倒れる。急性アルコール中毒の原因はこれに尽きます 。急性アルコール中毒の搬送件数が最も多いのは、12月の忘年会シーズンですが、行事の多い4月も要注意です。日本人はアルコールに弱い人が多い、という事実も知っておいてください」。
お酒を飲むと、アルコールは胃や腸から吸収され、肝臓でアセトアルデヒド (*1)に分解される。日本人を含むモンゴロイド(黄色人種)は、この分解作業を担う「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH) 」が少ないため、欧米人に比べてお酒に弱い人が多い。
今の時期だと、入社したての新人が、職場の雰囲気に早くなじもうと、調子に乗って飲んでしまうということもあるだろう。自分の限界を超えて飲まないこと。そして、同席者に安易に飲酒を煽るようなことは決してしないこと。この基本中の基本を、いかに守るかが大切だ。
強く呼びかけて反応がなければ、救急車を呼ぼう
では実際に、お酒の席で酔いつぶれてしまった人がいた場合、急性アルコール中毒かどうかを見極めるにはどうすればいいだろうか。
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