不眠から起こる病気あれこれ ~うつ病、血圧・血糖値・コレステロール値の上昇など

一方、不眠に隠れる病気として、一番多く要注意なのがうつ病だ。うつ病の主な兆候は、気分が落ち込んで物悲しい抑うつ気分、ソワソワ落ち着かない不安や焦燥感、不眠、食欲低下などだが、不眠が先行して現れることも多い。そうした場合、「ちょっと眠れないだけだから」と軽く考えて放っておくと、抑うつのメインの症状が出てくることもある。早めの対処が肝要だ。
睡眠不足が続くと、精神面だけでなく身体にも影響が出はじめる。たとえば血圧の上昇。不眠により交感神経の活性が高まり、コルチゾールというホルモンが血圧を上げるように働くのだ。これに加えて、血糖値も上がる、と林田氏は指摘する。「交感神経が高まると、血糖をコントロールするインスリンの働きが悪くなります。睡眠不足の状態が続くと、血圧、血糖値、そしてコレステロール値も上がります」(林田氏)。不眠は万病の元、ともいえるかもしれない。
次回は、睡眠薬の最新事情を解説しよう。
スリープ&ストレス クリニック院長

医学博士、日本睡眠学会評議員。1996年東京慈恵会医科大学卒業。同精神医学講座、神経研究所附属睡眠学センターにて、睡眠時無呼吸症候群、不眠症、時差ぼけ、ナルコレプシーなどに関する臨床研究を行い、2007年スリープ&ストレス クリニック開設。睡眠障害の専門治療に幅広く取り組み、メディアや講演を通じて睡眠医療の啓発にも多数携わる。
著書に『どう診る?日常診療に潜む睡眠障害』(日本医事新報社)、『朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本』(主婦の友社)など
病気の解説やその分野のトップレベルのドクターを紹介するWebサイト「ドクターズガイド」を運営。