甲状腺ホルモンに関わる病気の中で患者数が多いのがバセドウ病と橋本病。前者はホルモンが過剰に、後者は不足する正反対の病気だが、「いずれも自己免疫が関わる。免疫はもともと、体を病原菌などの外敵から守るために備わった仕組みだが、それが甲状腺を外敵と間違えて攻撃してしまうことで発病する」と伊藤病院の渡邊奈津子医師。
甲状腺の病気は圧倒的に女性に多く、バセドウ病では男性の約4倍、橋本病では約10倍にも。出産を境に甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、一時的に過剰、または不足になったり、それが慢性化したりする場合もある。
ただし、バセドウ病も橋本病も「すぐ命に関わる病気ではない。診断がつき、治療をきちんと受ければ元気になる病気。だからこそ、理由の分からない不調が続いたら甲状腺を疑って、血液検査を受けることが大事」と山田院長。ホルモンの分泌異常を調べるスクリーニング的な検査なら、内科や婦人科などのかかりつけ医で受けられる。結果に異常値が出たら、甲状腺の専門病院で詳しい検査を受けてほしい。
- 次ページ
- 20~30代に多い「バセドウ病」
